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桜魂×影縫 第1章第3話 縫われた運命(さだめ)

翌日、空はまるで傷跡を隠すように曇っていた。

団地の屋上に立つ福田朋広は、胸ポケットのスマホを見つめる。

桜形の紋が画面の奥で揺れ、糸のような光が震えていた。


「心を縫う——か。あの兄ちゃん、なんでそんなこと言うたんやろ」

昨夜の夢の残滓が、まだ指先に残っている。

クロトという男の視線には、確かに“他人の痛みを見抜く”ものがあった。


風が吹き、空気が歪む。

桜の花弁のような光が浮かび上がり、その中心から黒い影が歩み出てくる。

「再び会うとはな。君の“呪素”が呼んだんだろう」

クロトの声が、屋上の静寂を裂いた。


朋広は思わず笑う。「呪い言うても、ワシはただの人間やで」

「違う。君は“心を守る者”。その波長が、桜の形を取っているだけだ」


クロトの手から伸びた光糸が、朋広の胸元に触れる。

次の瞬間、心臓が跳ねた。過去の記憶、助けた少女の影、無数の涙が脳裏を駆け抜ける。

桜と影が一瞬で溶け合い、世界の輪郭が歪んだ。


「——あかん、これは……現実ちゃう」

意識が遠のく中、朋広は確かに見た。

雨の夜、少女の瞳の奥で“誰かが糸を引く”光景を。

その瞬間、二つの世界は縫い合わされたのだった。

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