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77 子どもは手を引け?

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

「私が闇魔法の攻撃を受けたと訴えることはできない?

 そうしたら伯爵は捜査の対象になって魔法の検査受けさせられるんじゃない?」

「……訴えられる? 何度も聞かれるのよ。映像の内容を。それに証明も難しい……」

「最初しか見てないから。それぐらいだったら言えるかと……。すぐ抵抗して映像を遮断したって言えば……」

「……やめておきなさい。あなたがこれ以上傷つくことない。

 どっちにしろ、それが狙いなのよ。

 もし訴えられてもネモが傷つく、だから訴えられない。そしてウォロにも脅迫の効果がある。

 かなり効果的で悪辣なやり方ね。

 クラウス! アンドレアスやエドワード達にも関わるのをやめるように伝えて」

「でも、Xの正体がわかったのに!!」

 私が言うと言い返される。

「まだ伯爵がXと決まったわけじゃないでしょ?」

「でも、聖魔法持ちで、あんなに闇魔法にけていて、私の力だけでは中和できないほど強かった……。想像されてたXの条件にぴったり合う!」

「わかったわ、ネモ、落ち着いて。ここまでやってくれてありがとう。

 でも、ここからは大人に任せなさい。

 クラウス、明日は花祭りの片づけで休みよね。

 アンドレアス達に話しができるかしら?」


 カトレア先生とクラウス先生が話し始めた。


「ごめん、ネモ」

 ウォロが私を抱きしめた。

「私が光魔法をかけてみるって言い出したんだから。

 伯爵のあの闇魔法。触らないとかけられないみたいだから、アリス達に伯爵に近付かないようにきちんと伝えておかないと」


 カトレア先生はそのまま学校長の部屋に戻っていき、クラウス先生が2-1寮に私達を送ってから5-1寮に向かった。


 部屋に入り、ドレスから部屋着に着替え、シーラが運んでおいてくれた制服を片付ける。

 オードリーが手伝いに来てくれたが私の顔色が悪いのを心配してくれている。

 ウォロの部屋に一緒に行ってもらい、ウォロの服をしまうのを手伝ってもらった。


 エドワード達がその間に食堂に夕食を取りに行ってくれ、戻ってくるのと同時ぐらいに5-1寮からアンドレアス達とクラウス先生が来た。


 2-1寮のリビングが人だらけになる。ランスとアポロはソファーで食べてもらうことにして、椅子ふたつを部屋から持ち出しテーブルに詰めて座る。


「カトレア先生から明日詳しいことやアルテイシアの処分について聞けると思うが、とりあえず急ぎのことだけ。ウォロ、ネモ、話していいか?」

 私とウォロは頷いた。


 アルテイシアの魔道具がXの手のものだとわかり、カルタロフ伯爵がXではないかと推測。

 聖魔法持ちだと確認できないため、ウォロと私で攻撃ではない光魔法をかけてみてどんな反応するか確かめたところ聖魔法持ちだと判断できた。しかし、それに気が付いた伯爵に私が手を掴まれ闇魔法で精神的な攻撃をされた。


「特にアリス、セレナ、オードリー。君達は絶対に伯爵と会わないように。もし会っても逃げるように」

 クラウス先生の言葉にアリスが心配そうに聞いてきた。

「何されたの?」

 アンドレアスが制止するそぶりを見せてくれたが……。

 

 私はウォロを見た。ウォロが手を握ってくれたので、話し出す。

「伯爵は触らないとその闇魔法をかけられないみたいなので、本当に気をつけて。

 アンドレアス、ライトはアリスとセレナを。オードリーはとにかくみんな、気をつけてあげて。

 私が闇魔法で見せられたことを訴えたら伯爵を調べてもらえるんじゃないかとカトレア先生には言ったんだけど、私がさらに傷つくだけだからと止められた。その映像は……」

 私が言い淀んでしまったので、ウォロが代わりに言ってくれた。

「マッちゃんから聞いたところによると、ネモが襲われてる映像で……。

 ネモは最初のところだけ見て、その後は見るのを拒絶できたけど、マッちゃんによるとその後のひどい映像もあったそうで……。

 それを訴えるとなるとネモはそれをずっと証言し続けなくてはならなくなる。だから訴えないだろうというのが狙いなんだろうけど……。

 それにネモにというより、自分に、ミーア帝国に対して、これ以上探りを入れるとネモを狙うという脅迫というか警告というかそういう意味が強いんだと思う。

 光魔法でその映像は中和して消すことはできるけれど、見てしまった記憶は中和できないから……」

「だから、アリス、セレナ、オードリーをみんなで守って気をつけてあげて」

 私の言葉を受けて、クラウス先生が続ける。

「ここからは大人に任せて。何とか、伯爵が聖魔法持ちで魔道具を作っていることを証明する方法を考えるから」


「そんなやられっぱなしで……」

 ランスが怒ってくれる。

「ウォロもそばにいたんなら、ちゃんと守れよ!!」

 ウォロにその怒りを向けてくるので「ランス!」と呼びかけた。


「私が光魔法で確認しようって言ったの。ウォロがやらせたんじゃないから、ウォロを責めないで。

 守れなかったとか言わないで。

 ただの映像だから、作られた嘘の映像だから。

 マッちゃんと私しか見ていないから!! ていうか、私はほとんど見ていないし!

 うん、そうだよ。

 これから流れ込んできた映像は中和して消すから。ごめん、ウォロと部屋行っていい?」

 私はウォロと自分の夕食を持ち、ウォロの手を引いて自分の部屋に行った。


 アリスがお茶を持って来てくれて「手伝えることある?」と聞いてくれた。

「ありがとう、アリス。じゃあ、私に元気が出る光魔法かけてくれない?

 中和は自分でするから、離れて応援してくれるとうれしい」

「わかった」


 私は目をつぶり頭の中の闇魔法と思われる黒いもやもやを光魔法で中和していく。

 マッちゃんが遮断してくれたから大部分もやもやになってる。

 これ、頭に直接入れられてたら、怖いな。記憶がおかしくなりそうだ。

 手から流し込まれたからか、中和して完全に消すことができそう。

 そうか、光の思念化も手から流し込めるともう少し弱めな効果になるのかも。


 うん、黒いもやもやは完全に消えた。

 最初の数秒だけは見てしまったので記憶に残ってしまっているが、頭の中からもやもやが消えただけでもかなりすっきりした。

 アリスの光魔法も優しくて温かい。家族の愛というものを感じた。


「ありがとう、アリス。無事に終わったよ」

 アリスは私を抱きしめてから、ウォロの肩に手を置いて「ネモをお願いね」と言うと部屋を出て行った。


「ウォロ、お待たせ。ご飯食べよ」

 私は元気に言うと食べ始める。

 ウォロはなかなか食べ始めない。

「もう大丈夫だから。マッちゃんのおかげだね。そこまで嫌な思いしていないから」

 私がそう言っても、自分のせいだ、守れなかったという思いをウォロの気持ちから拭い去ることは難しいことはわかっている。

 今は私ができるだけそばにいて平気な姿を見せることができれば……。


 時間がかかったが、食べ終えることができ、容器を片付けに行く。


「ネモ……よりウォロの方がダメージ受けてるね」とオードリーが心配そうに声をかけてきた。

「うん、どうしたものか……。責任感じることないのに……」

「いや、それは無理だろ。男としては責任感じるだろ」

 ティエルノが話に入ってきた。

「寮長、心配だから今日一緒の部屋で寝ていい?」

 リビングにいたみんな、固まる。

「……まあ、仕方ないか……。ネモを守るためにということで許可するか……」

 ティエルノが答えた。


 私はウォロの部屋から枕と毛布を持ってきた。

「今日はこの部屋で一緒に寝よ。みんなにもOKもらったし。

 お風呂入って寝る仕度したら、来てね! 待ってるから!」

「……ネモ、わざと元気なふりしなくてもいいよ」

「わざとじゃないけど……。じゃあ、ウォロとふたりになったら、いっぱい話聞いてもらいたい」

「うん、それならわかった……」


 次の日、朝食を食べてから制服に着替え、生徒会室に行き片付けを手伝った。

 エドワードとティエルノはボランティア募集のポスターを貼りに行ったり、次の休みの孤児院での活動を確認したりしていた。


 生徒会室の方がすぐ終わったので、講堂の手伝いに行く。

 ランスがいた。

「5年生なのに手伝ってくれてるんだ! ありがとう!」

 私が声をかけると驚いたような顔をされる。

 昨夜は落ち込んで泣いていると思ったか?

 まあ、ウォロと話していて、くやしくなって少し泣いたけどな。

 伯爵の思い通りになって泣き寝入りするような女じゃないんだよ、こちとら。

 まあ、ウォロの方はまだダメージ残ってるみたいだけど……。


「あ、ウォロ、昨日はカッとなってすぐ言葉を叩きつけてしまい、ごめん。

 ウォロがネモを守ろうとしてなかったはずはないのに。

 結果だけ責めるなんてひどいことしたよな、本当にごめん。

 それで、クラウスにはああ言われたけど、何かするなら協力するから、その時は言ってくれ」


 ウォロと私はランスの言葉に顔を見合わせた。

 ランス、いい人だ。

「ありがとう、ランス。うん、そうだな。このままというのは……」

 ウォロが考え込む。

 おっ、調子出て来たかな?


 その時、エドワードとティエルノが呼びに来た。

「カトレア先生が先生の研究室に集まれってさ!

 セレナ達ももう向かってる。兄様達も呼びに行くから、先に行ってて!」 


 カトレア先生の研究室に行くと鍵がかかっていた。

 あれ?

 研究室の向かいの先生の居住部屋の方から「こっちよ! ネモ!」と声がした。この声は……!


「マリア!!」

 マリアがドアを開けて立っている。

「そっちじゃ狭いからね。こちらにって」


 中に入ると広めのリビングがあり、陛下とカトレア先生とギーマ先生がいた!!

 えっ?

 陛下とカトレア先生?


 私の驚愕の表情を見て、楽しそうな表情をする陛下。

 カトレア先生は苦笑いして話し出した。

「ネモ、そんなに驚かなくても……。

 こうなったからには嫌でも、この……陛下と手を組まざるを得ないわ。

 もう、あなたのせいよ」

読んで下さりありがとうございます。

たくさんの方が読みに来てくださっていて励みになります!

これからもよろしくお願いします。

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