表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ANIMA  作者: けんはる
9/12

天界開放大戦④

 聖堂の近く、深い森の中にアレンはいた。

 ガブリエルと口論になってから、十年前の記憶が蘇ってくる。

 

「あの日、俺の手で……レナが……」


 あの時は力が暴走していて意識はほぼなかった。ただ、一人の少女をその手で殴り殺した感覚だけが鮮明に残っている。


「分かってる……でも、もう誰も死なせたくないんだ……!」


 怒りに任せて巨木に拳を振るった。

 静寂に包まれた森の中にただむなしく木々が揺れる音が響いた。


「レナ……あれからもう10年になるな……」


 ガブリエルは砂埃の舞う砂漠に無造作に置かれた墓標群の中にいた。


「俺とミカエルが政府を抜けてから9年にもなる……」


「その間にいろいろなことがあった……明後日には、俺たちは政府に戦いを挑む」


「どうか見守っていてくれ。俺がこの800年の歴史に終止符を打つ」


 小さな墓標にそっと一輪の花を添えて、墓標群を後にした。


「アレン……」


 アレンは既に聖堂に帰宅していた。


「ガブリエル……さっきはごめん。レナの墓に行ってたんだろ……俺もこの後、あいつの好きだった花を添えに行ってくる」


 アレンは椅子から立ち上がって、聖堂を後にしようとした。


「待て、アレン」


「お前の気持ちはわかっている……あれから10年も経った。政府に勝つためにはお前の力が必要だ」


「ただ、これから俺と戦え。お前の全力を俺が受け止める」


「それで力が制御出来たら、4段以上に使用を認める」


「……分かった」


 二人は聖堂の外へと出た。

 互いの目には、かつての仲間であるレナの顔が浮かんでいる。

 忘れられない、大切な仲間の笑顔をもう見失いたくない。


「俺たちは……みんな深い森の中でさまよっているんだ」


「抗い、生き延びていく中で、共に過ごした仲間を見失ってしまう」


「でももう、誰も失わないために……誰も悲しませないために……!」


「俺は自分を支配する……!!」


 アレンの体を黒い霧が纏った。


「あぁ、来いっっ!!」


 ガブリエルは神器【聖剣ユグドラシル】をかまえる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ