天界開放大戦~開戦~
陽光が地を熱する中、人々は政府領地内で開かれる大規模な祭典を楽しんでいる。天界中の特産物が、一挙にここに集まるのである。中には合法とは思えないものも見受けられる。先ほど、幻の土地【ワンダーランド】に生息する動物のツノと謳ったものを売り捌いていた男が政府の職員に何処かへと連行されていった。
「俺たちは顔が割れている。フードは深くかぶっておけ」
周りを警戒しながらガブリエルがそういう。
「こんな賑やかな祭り事をしてるが、本当の目的は俺たちへの宣戦布告だろ」
野外市場の通りを抜けると、一際開けた場所に巨大な演説台の置かれたスペースがあった。
その演説台を円状に囲うように見物人達で溢れている。
「空には……少なくとも20人は警備がいるな」
観客たちの10メートルほど上空を武装した兵士たちが飛んでいる。
「仲間たちもすでにこの中に隠れている。作戦開始の合図はゼウスが演説を始める瞬間だ」
ガブリエルがそう言ったとき、演説台の上に木製の何かが運ばれてきた。
「あれは……十字架……?」
兵士たちが縄を引っ張って十字架を立てて固定した。
メアリーがそこに磔られていた。
「これより、ゼウス様による演説を始める!」
兵士がそう叫んだ。奥の膜で囲まれた部屋からゼウスと思われる男が出てくる。
「……! メアリーを……!」
エースたちは怒りを、憎しみをこらえながら磔にされたメアリーを見つめることしかできなかった。
「これより、政府樹立の日の祭典の儀を始める」
ゼウスが喋りだした。作戦の合図だ。歓声の響く中で、皆が一瞬深く息を吸った。
「いくぞ!!」
ガブリエルが叫んだ。それに合わせて皆が一斉に飛び立つ。
汗が地に落ちるより短い時間。一瞬の間にガブリエルとゼウスは目が合った。
五人の解放戦線メンバーが一斉にゼウスに攻撃を仕掛けた。
それに合わせて二十人のメンバーが上空を飛んでいた警備隊に斬りかかった。
ゼウスに攻撃が当たる寸前、観客の中から巨漢が攻撃を防ぐ形で飛び出してきた。
「天野流 三段 無限神拳!!」
巨漢の黒い霧を纏った拳がガブリエルたちにさく裂した。
それに合わせて、十数人の政府最高幹部と数百人の兵士たちが観客の中から飛び出した。
「来ると思ってたぞ、ガブリエル!」
ゼウスが倒れながら叫んだ。
「お前ら、ここで奴らを終わりにしてやれ!!」
叫びとともに、数百の兵士たちが一斉に武器を構えて突っ込んできた。
「天野流……四段 覇化……」
アレンの周りを黒い霧が覆う。
「……四段か、アレン」
同じく天野流を司る巨漢の男がそれを見入る。
「六段……六千白夜!!」
無限のエネルギーを纏う拳が数百の敵兵に炸裂する。
「アレン……」
アレンを見てゼウスが含みを持った笑みを浮かべる。寸前まで迫ったエネルギー弾を【大和刀】を持った白縫いの男がはじき返す。
「白夜、よくやった」
男の名前は白夜。史上最悪の人斬りと恐れられた男だが、今はゼウスの側近として政府に所属している。
激しい攻撃によって視界を覆うように舞っている砂埃をかき分けながら、エースはゼウスの背後まで接近した。
「……とった!」
背後から剣を振り下ろした。しかし、それを凄まじい速度の抜刀によって防がれる。
「なんだお前は?」
「俺は……お前を殺す男だ!!」
「そうか、剣の腕があまりよくないようだな、死ね」
雷を纏った剣を振り上げた。
剣を振り下ろす寸前に、凄まじい衝撃音とともにゼウスが吹き飛んだ。
「なっ……!」
「アレン……! 白夜の奴は何してる!」
血まみれになったアレンだった。
「あ? あいつなら殺した」
今までに見たこともない狂気に満ちた目でそう言う。
「……化物が」
「さぁ! 殺しあおうじゃねえか……ゼウス!」




