最悪の人間
そこには俺が立っていた。
「やあやあやあやあ。いやはやいやはや、まさか本当に来てくれるとはねえ…」
「会いたくなかったがな。仕方がないから来ただけだ」
「ふふふ…いや、君は面白いねえ…流石は俺の最高傑作品だ」
……こいつはやはり苦手だ。
「それで?ここに読んだ理由は?」
「いやーなになに、確認したいことがあってねえ〜〜」
というと、スッとやつの体が消えて俺の背後から出てくる。
「……今のは、何をした?」
「ん?ああ、君は『真理の目』を持っているのか。そうだね、ずっとそれで見て来た君ならば今の行動に不満を覚えてもしかがないだろう。何故かって?アルファ個体分理由数機体極小波が全く動いないからだ」
言葉はわからないが、意味ならわかる。
「そうだな、それは俺にも使えるのか?」
すると、やつは少し考えた後に。
「まあ、扱えると思うよ?ぶっちゃけこれは簡単だしね。自分のあらゆる細胞を暗記して一度この世から消した後に、空気中にあるアルファ個体分理由数機体極小波を自分のデータに置き換えればいいだけだからね。君が見えなかったのは君の目『真理の目』がアルファ個体のものしか見えないからだ。一応俺は『帝』のクラスになる事は可能だからね、流石にアルファ個体最弱さんの機体程度なら書き換えられるよ」
「成る程、俺にはほぼ無理だな」
と、『事実』を言うと、やつはニヤリと笑って。
「いや?いいや?違うよ、違う。それは事実だが、同時に『真実』じゃあない。君も知っているだろう?」
何を言っているかはわかる。だから俺はそいつに対して…
「ハッ!ふざけんな」
鼻で笑ってやる。
「『君』は本当に『君』が嫌いだねえ…ま、いいさ。『君』が『君』を越えれるかもしれない。そんな日を待っている…と、言いたいところなんだが…すまないね。今日呼び出した本題に移らさせてもらおう」
すると、やつはパチンと指を鳴らし、
「こいつと戦って貰おうかなと思っているんだ。死んだらごめんね?ただ、俺は助けないからよろしく」
「クソが」
そこに突如として、そいつは現れた。背中の甲羅のようなものから何本にも伸びる触手はヌメヌメと鈍い光を放っており、その触手には無数の目玉が付いている。足はなく、甲羅の下から伸びる無数の触手が地面に伸びている。わかりやくいえばモップ。大きさは1メートル程だが、確実にヤバい奴であることは想像に難くない。
「邪神…の力か?」
「大正解〜ここ、速水領に住んでいるかなり弱い方の邪神、アミンジリア君でーす。効果は君の考えている通り〜」
「記憶の上書き…又は消去」
「はいせいかーい!いやーこの子はかなり弱い方なんだけどね〜その効果が遺憾せん厄介で厄介で…恐らくここの現管理者がこいつに触れればこの世界のどこかに空白が生まれるんだよね〜んで持って、どうなるかは定かでは無いけど、まあ、この世界が崩壊するだろうね〜って言う少し厄介な邪神だよ」
それを少しとは言わないのだが、まあ、それはいい。
「力を奪うなんてしていいのか?」
「大丈夫大丈夫、邪神って基本敵対してもしなくても襲ってくるけど、自分よりも確実に強い奴には絶対に抗わないから、可愛いもんだよ」
「あっそう。んで、俺はこいつを倒せと?」
「そうそう!頑張れ!頑張れ!死んでもまた転生するだけだよ?」
「…悟りを開こうかな」
「いやー、無理だと思うけどねえ〜」
さて、もう無駄話は出来ない。
アミンジリア…アミンと訳すが、アミンはシルヴィのお父さんのマーリンとは魔力の質が違う。
マーリンの魔力がごちゃごちゃに混ぜ合わせた色とりどりの炎ならば、アミンは純粋に真っ黒な炎と言うべきものだろう。
はっきり言おう。俺でもギリギリ勝てる。
ただ、このギリギリは一切ミスなく、相手の動きを完璧に読み取る。と言う工程の先にあるものだが。
………あいつらの声は聞こえない…か。
…………。
「行くぞ、アミンジリア」




