巨大なる神殿の先で見たものとは
それから何度か頭の中で会話し、少しずつだがわかり始めた自分がいた。
前世とは…、そしてなぜ生まれ変わりがあると言われているのか……。そしてこの男の声の主が前世の私だと言うことも。
「どうして今になって出てきたの?今出てくる必要があったの?」
『お前を連れて行かなくてはならなくなったからな。』
「何処へ?」
『それは行けば分かるところだ。夜に迎えに来るぞ。』
「えッ?どうして?えッ?」
答えは返ってこなかった。
そして深夜みんなが寝静まり私も眠りについた時、夢の中に声の主が現れた。いつの時代かはわからないが、相当前だとわかるような服装だ。布を巻いただけのような簡単な作りのようだ。顔立ちは悪くない。その程度だ。お世辞にもかっこいいと言えそうにない。ごくごく普通の顔立ち。
「何で?ここは夢の中なんじゃないの?」
『半分は当ってる。だが半分は違う。夢の中と別の世界の中間にいる。』
「えー!どうしてそうなるの?わからないわ。」
『わからなくてもいい。付いて来い。』
男はそう言って前をどんどん歩いていく。私はついていくのがやっとだ。
30分程歩いただろうか、見えなかった視界が急に開けた。そこは巨大な建物が立ち並ぶ神殿のような場所だった。人々は歩き行き交いはしを歩いて行く。
私達は真ん中を堂々と歩いていく。そして目の前に立つ巨大なるドアを開けて中に入っていく。そこで見たのは神々しいまでの黄金の髪をした男性が台座に座っていた。
私を連れてきた男性は恭しく片膝をついてしゃがみこんだ。私はその場に棒のように突っ立っていた。
『しゃがめよ。』
「何でよ。」
『いだいなる神の前で同じ立場に立つことは許されない。だからしゃがめ。』
半ば強引に腕を引っ張られてしゃがまされた。
《娘よ。今の生活はどうですか?》
「満足してますよ。家族みんなで過ごせてるから。時々イラつくこともあるけど些細なことだし…。」
《それは良かった。ならば安心です。転生して良かったのですね。》
「まぁ、結果としてはそうなりますね。でも、ここの記憶残りますけどいいんですか?」
《大丈夫ですよ。起きた時には全て忘れていますから。》
「はぁ〜。」
神様が言っているのだから間違いはないだろうと納得し、私は元来た道を歩いていく。
そして自分の夢の中へと戻り目が覚めた時にはどんな夢を見ていたのかも忘れていた。
「結局のところあんたは来たの?来なかったの?」
『来てたぞ〜。』
「で、何しに来たの?」
『さぁ〜何だっけかな?忘れちまったぜ。』
「何なの?それ。」私はアホらしくなってしまった。だからそれ以上は何も言わなかった。神様の言った通りだったのを知っているのは声の主だけだった。
「あ〜あ、何かこう変わったことでもないかなぁ〜?」
『何故だ?』
「だって毎日毎日同じことの繰り返しで退屈なんだもん。」
『それがいいこととは思わないのか?』
「思ってはいるんだけどさ、それでもちょっとした刺激が欲しくなっちゃうのよ。人間って困った生き物なのよ。」
『後数年もすればお前は伴侶を見つけ結婚するかもしれないんだぞ?それにお前には夢があったのじゃないか?』
夢は確かに持っていた。
役者になるという夢を。
でもさきの事があって夢で終わりそうな予感がしていた。
「夢で終わりそうなきがするんだけど……。それにまた力が必要になった時私自身どうなってるかわかんないし。」
『そうだな、だからこそ今できることをやっておけ。』
「なんか俺様みたいな感じがするんだけど!」まっいっかと思いそれ以上は言わなかった。




