命の選択
助かる人もいれば助からない人もいる。
今回の被災でも何人かが犠牲になった。
その中で家族が被害にあっていないのがせめてもの救いだ。しかし、母の具合があまり良くない。負担がかかりすぎているようだ。
日に何度も背中をさすり、治療を続けた。
だが、あまり成果はあがらなかった。
体が持たないようだ。私達はすぐにテントの医師の元に母を連れて行った。
母は顔面蒼白になっており、両手も冷たかった。
「大丈夫?母さん。」
「大丈夫だよ。ちょっと無理がたたったみたいなだけ。ちょっと横になってればすぐに治るよ。」そう言ってベットに横になった。
私はさすりながら治療を続けたが、手のひらの痛みは収まらなかった。
その日の夜、母の体調が悪化した。しかしここで見ることは不可能だった。内臓が痛んでいたのだ。
すぐに救急車に乗せられて家族全員市内の病院へと搬送された。
救急治療室に入った母はなかなか出てこない。時間だけが刻一刻と過ぎていく…。
そして…出てきたのは医師だけだった。そして残酷なことを告げられた。
「奥さんは亡くなられました。肝臓が悪かったようですね。今回の被災でかなりダメージを受けたようです。」
「そ、そんな、…。母さん。」
「グッグッグッ。うーわーん。お母さーん。」私は泣きながら診察室へと入っていった。そこには横たわる母の姿が。
家族全員入ってきたが、看護師達は何も言わなかった。そっとしておいてくれたのだ。
私はまだ信じられず、力をフルに使って母を治そうとしたが、治ることはなかった。眠っているような安らかな顔だった。
「こんな時に何の役にも立たないなんて……どうして?どうしてなの?」私は叫んだ。
それからしばらくは何も手につかず、放心状態だった私の元に一人の青年がやってきた。
「探したよ。ようやく見つけた。」
私は訳が分からなかった。
見知らぬ青年。誰を探していたって?私の事?
「君だよね。不思議な力を持ってるって子は…。僕はずっと探していたんだ。ようやく見つけたよ。仲間をね。」
そう言いながら青年は手にしていたものを空中に浮かせた。
「あっ。」
思わず声を上げた。私と同じことができたからだ。そしてこう言った。
「向こうの世界ではなかなか会えなかったから、あまり覚えていないかもしれないけどね。僕らは仲間だったんだよ。仲のいいね。」
そう言いながら握手を求めてきた。私は何も考えられず差し出された手をつかんだ。するとピリッと静電気のような現象が起こった。
その一瞬で頭の中に何かが入り込んできた。
それは私の前世と関係があるようだった。
「貴方も前世つながりなのね。」
それだけ言うと私はその場を離れようとした。すると青年が片手を捕まえて離してはくれなかった。




