手探りをして…
やはり患者が多く医師の手が圧倒的に足りないように見えた私は母にだけは話してテントへと歩いて行った。
ヨロヨロと歩いているので誰も捜している少女とは気付かなかった。
コッソリと医師のそばに行き小声で話しかけた。すると「気をつけなよ。みんな君を捜してる。まだ諦めてない人もちらほらいるからね。」「はい。分かりました。」そう言って眠っている患者のみを捜しては治療を始めた。みんなにわからないように屈んで隠れてやっているので誰も気付かなかった。小一時間ほどやると休憩と称しあきベットを使わせてもらった。それからも続けようとしたが、あまり長居をするとバレる可能性がある為、テントを離れることもあった。
少しずつ患者の数が減ってくると見つかる可能性が高くなるので近寄るのをやめた。それからはなるべく母のそばにいるようにした。あまり心配をかけたくなかったからだ。
そうしている内に避難所に小さな女の子がやって来た。「お、おかあ、おかあさん助けて〜。」そう言いながら泣き出してしまった。私は直ぐに女の子のそばに駆け寄った。他の大人達も。泣き出してしまった女の子をあやしながらお母さんがどこにいるかを聞いた。
すると避難所のすぐ近くの家で全倒壊していた場所だった。皆が必死になって瓦礫を撤去始めたが、重いものもあってなかなかはかどらない。時間だけが無情に過ぎていく…。女の子は泣いたまま…。
どうしたらいい?どうしたら……。
私は必死になって考えた。家族の事、友人の事、町の人々の事。自分が持っている力の事。悩んで考えた。そして…。
右手を上げ必死に念じた。重い板よどけと。
とにかくそれ以外考えなかった。
すると重い瓦礫が動き始めた。
私は玉のような汗をかいている。その間の音は一切聞こえてこなかった。人々のざわめきや瓦礫が動く音など…。
手探りで探すにしても多すぎた。私は必死だった。汗が額からつたい落ちる…。
皆私を見ていることなど気にもならなかった。そして…ある程度どかすことができたが、私は力尽きて倒れてしまった。
わぁ〜という声と同時に人々のざわめきや音が聞こえてきた。
少女のお母さんもすぐに発見することができ、避難所へと運ばれていった。しかし誰一人私に近寄ろうとする人はいなかった。
私はある程度体力を回復すると避難所に向かった。先ほどの母親がどうなったか知りたかったのだ。
私が歩くと人々は付いてくる。
そしてテントに入ると先ほどの少女のところへ向かった。
母親は大した怪我もなく眠っていた。
タンスと壁の隙間に挟まれて動けなかっただけらしい。
私はホッとした。
少女は私を見ると少し怯えた。
あの姿を見られたのだ。怯えないほうがおかしい。私は弱々しく微笑んで医師の元へ行った。
「君、大丈夫かい?真っ青だけど…。もしかして力とやらを使ったのかい?」
「…はい。彼女の母親を助けるためにどうしても必要だったので。」
「なら、もう君をかばってあげられないよ。みんな見てたからね。君はバカだよ。使わなければ変な目で見られないで済んだだろうに…。」
「でも、助けたかったから…無理ですよ。」私は弱々しく笑いその場を後にした。
「おい、君、君の不思議な力で助けてはくれないか?」
「誰をですか?」
「ここら一体で避難しきれなかった人がたくさんいるんだよ。だから…ね。」男はニヤニヤと笑いながら言ってくる。
「おじさんと組んで金儲けですか?そんなことしませんよ。」
「か、…金儲けなど……。」「しないと言い切れるなら無償でやりますよ。それに私のこの力は無限じゃないんですよ。それでもよければですが…。」そう言うと男は黙ってしまいその場を離れていった。「けっ、もったいぶりやがって。」と文句を言いながら。




