第37話:壊れた器の使い道
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前回までのあらすじ:健太による不潔な陵辱支配に追い詰められた陽菜は、金井姉妹から漂う清潔感に絶望的な格差と羨望を抱き、次第に二階の佐藤が握る「特権」への渇望と、その先にある黒い欲望を静かに煮えたぎらせていく。
それでは、第37話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、二十八度目の陽光が湿り気を帯びて絡みついていた。一階の廊下には、腐敗した生ゴミと人の脂が混じった特有の悪臭が滞留し、一歩進むごとに肺が拒絶反応を起こすほど重苦しい。
石堂陽菜が、かつての居場所であった204号室へ「忘れ物」を取りに向かった。彼女が束の間の解放を求めて階段を上がっていった、そのわずかな時間のことだ。
102号室。かつて会社員の木村保が一人酒を嗜んでいたその部屋は、今や田中健太、横山達也、川瀬涼太の三人が一階を支配するための拠点へと変貌を遂げている。主を失った部屋のカーテンは固く締め切られ、湿った体臭と、拭い去ることのできない粘着質な情欲の残り香が、壁紙の裏まで染み込んでいた。
排水管を伝い、微かな水音と女たちの楽しげな笑い声が、一階の天井へとじわりと染み込んでいく。
その真下。健太はソファに深く腰掛け、小野香織を対面で跨がらせていた。
だが、そこに意志を持つ「女」は存在しない。香織の肌は生気を失い、至る所に男たちによって刻まれた執着の痕が赤黒く浮き出ている。彼女は健太に腰を乱暴に掴み上げられ、衝撃に身を任せるたび、ただ虚ろな瞳で天井を見つめていた。
「あ……っ、ふ、……ぅ……」
漏れ出る声は、もはや快楽によるものではない。肺に溜まった空気を押し出すための、機械的な排気音だ。
健太は香織を壁際へと引きずり出すと、その細い脚を強引に自分の肩へと担ぎ上げた。不安定に宙へ浮いた香織の最奥へ、全体重をかけてその猛りを叩きつける。
「おい、香織。もっとちゃんと締めろよ。死んでんのか!」
背中が冷たく汚れた壁に打ち付けられ、鈍い音が響く。健太の意識は、目の前の香織を蹂躙しながらも、常に天井の向こう側――佐藤悠のいる201号室へと向けられていた。
自分たちはここで不潔な泥を舐め合うようにして生きている。それなのに、あの佐藤という男の周りには、常に「余裕」という名の特権が漂っている。その格差が、健太の中にある劣等感を狂気へと変貌させていた。
健太は自身の昂ぶりを香織の深奥へと吐き出すと、彼女をゴミのように床へ放り出した。
「おい、次はお前らだ。徹底的に回せ」
待機していた横山が、四つん這いに崩れ落ちた香織の背後から肉薄した。しかし、数分も経たないうちに横山は忌々しげに舌打ちをした。
「……チッ、健太さん。この女、もう反応がねえ。締まりもクソもなくて、全然イケねえよ」
横山は強引に自身を引き抜くと、香織の髪を掴んで無理やり仰け反らせた。
「おい、口でやれ。こっちの方がまだ使い道がある」
横山は自身の荒ぶる熱を、拒絶する力もない香織の口腔へと容赦なく押し込んだ。喉の奥を突くたびに香織は涙目で鳴咽するが、横山はその頭を掴んで前後に激しく揺さぶる。
蹂躙される尊厳。横山は獣のような吐息と共に、香織の喉奥へと自身の汚濁をぶちまけた。
横山が満足げに離れると、次は川瀬の番だった。
川瀬は床に力なく横たわる香織を強引にひっくり返すと、彼女の顔を自分の股間へと押し付けた。
「ほら、ここも綺麗にしろ。お前、得意だろ?」
川瀬は香織の頭を抑え込み、彼女の舌を自身の卑しい場所へと向けさせた。屈辱にまみれた奉仕。香織の舌は、自身の意志とは無関係に男の不潔な場所を這い回る。その最中、川瀬は自身の怒張を彼女の震える手に握らせた。
一方では排泄の場を舐めさせられ、もう一方では欲望を扱き上げさせられる。香織の指先は、絶望と疲労で力が入らず、かえってそれが川瀬に歪な快感を与えた。
「あ、ああ……っ! そうだ、そのまま舐め続けろ……!」
屈辱の極み。香織の瞳からはついに最後の知性の光が消えた。ただただ、男の欲望を処理するための装置として機能する肉体。
川瀬は激しい痙攣と共に、香織の手と顔面に自身の徴を撒き散らした。
あの屈辱的な夜――健太たちに見せしめとして神田に抱かされた、あの泥沼のような記憶さえも、今は男たちの荒い鼻息と体液の匂いによって塗り潰されていく。
口の端からは涎が垂れ、焦点の合わない瞳はただ虚空を彷徨う。それが、小野香織の成れの果てだった。
そこへ、204号室から戻ってきた陽菜が、102号室のドアを静かに開けた。
目の前に広がるのは、撒き散らされた体液と、完全に「壊れた」香織が転がる地獄絵図だ。
「……陽菜か。遅かったな」
ソファでタバコに火をつけた健太が、冷淡に声をかける。
「おい、陽菜。女が足りねえ。香織はもう見ての通りボロ雑巾だ。お前一人じゃ、俺ら三人を支えきれねえだろ? 二階に行ってあの辻姉妹を説得してこい。佐藤のところに逃げ込む前に、俺らのところに来たほうが『いい思い』ができるってな。連れてこい直ぐに。絶対にだ」
陽菜は床に転がる、指先一つ動かさない香織を一瞥した。その瞳には、嫌悪も同情も映っていない。
「……わかったわ」
短く答えた陽菜の承諾を聞き届けると、健太は次に横山と川瀬に顔を向けた。
「横山、川瀬。お前らは203号室の北川の野郎をなんとかしてこい。あいつ、いつまでも一人で安全圏にいやがって。あいつの部屋にある物資も、あいつ自身も……俺たちのために『活用』してやる。拒否するなら、わかってるな?」
横山と川瀬は下卑た笑みを浮かべ、部屋を後にした。
静まり返った室内で、健太は床に転がる香織の肉体を凝視する。
ピクリと痙攣するだけの彼女を眺めながら、健太は口の端を醜く吊り上げた。
「……いい具合に壊れたな。こいつを『餌』にすれば、あの神田も、喜んで俺たちの犬になるだろ……」
完全に壊れた香織を「人質」として、さらなる「駒」を取り込もうとする健太の歪んだ企みが、アパート全体をさらなる深淵へと引きずり込もうとしていた。
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