表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界漂流記  作者: 春雪
第一章〜無人島サバイバル編〜
5/56

第四話  『不和』

第四話です。


感想、ご指摘などお待ちしております。

 


 拠点を見つけた俺たちは無事、仁千佳達のグループと合流をしてお互いの成果を報告しあう事にした。



「こっちは仮拠点にちょうどよさそうなとこ見つけた。いい感じに窪んでるとこがあって雨風くらいなら防いでくれると思う。そっちは何か見つかったか?」



 なるべく先程の喧嘩のことを気にしていない風に装いつつ質問を投げかけてみる。



「っ!!、、、こっちは何も無かった。木を拾い集めて来ただけ」



 仁千佳は一瞬顔を強張らせ不機嫌そうにそう答えたが以前の様に噛みついてくる事は無かった。



 よかった、相変わらず嫌悪感というか敵意が凄いがとりあえずこちらから下手に刺激しなければ今すぐに喧嘩になるなんて事はなさそうだ。



 ホッとしつつ先生に視線を向けると先生もこちらを見返して安心した様に頷いた。



 でも、いつまでもこのままという訳にもいかない。このまま険悪な状態でいつ終わるかの見通しもつかない無人島生活を送る事になるなんて考えただけでゾッとする。拠点や食料関係が落ち着いたらちゃんと仁千佳と話してみないとな。



 そんな事を考えながら俺達は来た道を引き返すのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーー



「「「、、、、、、、、、、」」」



 道中、全員無言で空気が重かった。まぁ当然だろう。喧嘩が起こらなかったと言うだけで俺と仁千佳達の問題は解決した訳じゃないからな。



 チラリと仁千佳達に視線を向けると、仁千佳は何かを考え込んでいる様に下を向いてしまっているが盛島と広瀬の2人はあからさまに俺を睨みつけている。



 おぉ、、怖。



 ていうかそもそも、どうしてこの2人はこんなに敵意を向けてくるんだ?100歩譲ってこの中で1番関係の深い仁千佳が怒ってるのはまだわかる。だが、この2人は本当に謎だ。仁千佳と同じで俺が普段と違うとかなんとかで怒ってるのだろうか?でも俺、君達とほとんど話した事ないよね?見てるだけでムカツクという事か?



 、、そういや小学校の時とかでも男子が女子泣かせたりしたらよく関係ない別の女子とかが出てきてえげつない口撃で袋叩きにしてたなぁ。コイツらもあれと同じような物なのだろうか?



 疑問を感じつつ先生と熊谷に目を向ける。



 熊谷は我関せずと言った感じで無表情のままだし先生はおろおろとしながら俺と仁千佳達を交互に見て何かを口にしようとしていたが、結局うまい言葉が思い浮かばなかったのか口を閉じてしょんぼりとした感じで俯いてしまった。



 そんな先生の様子に少し申し訳なくなってくるが、、、この件に関しちゃ俺は下手に口を開かない方が良さそうだしなぁ、、、



 そうして先生に対して罪悪感を覚えているうちに目的地に到着した。言葉少なに適当に場所を決め荷物を下ろす俺たちに先生が声を上げた。



「みんな荷物を下ろしたらこっちに集まって。これからの事を話し合いましょう。」



 先生は俺の方をチラリと見ると小さく頷いた。



 実は、この流れは仁千佳達との合流前に先生と打ち合わせして事前に決めていた事だった。理由は単純に、俺が場を仕切ると仁千佳達からほぼ間違いなく反発があるだろうと予想されたからだ。それもあって当初は順当に指導者の立場である先生に進行役を任せようかと考えていたのだが、そこで先生から待ったがかかった。話を聞いてみると、どうやら今の状況で正しい判断を下せる自信がなく、俺や熊谷にも力を貸してほしい、、との事らしい。



 先生は情けなさそうにしていたが、、少なくとも俺は責める気にはなれなかった。普段は俺たち生徒を教え導く立場の先生だが、同時に1人の人間なのだ。年齢も、、、確か今年23になる歳だったはず。つまり、俺たちとたったの6つしか変わらない。バイトの経験があるのかは知らないが、、少なくとも正式に社会に出てからまだ一年も経ってないのだ。当然、遭難の経験やサバイバルの専門知識など持ち合わせているはずもない。



 ようするに、俺達と何も変わらないのだ。それでいきなりこんな状況に放り出されて、教師として全員の命を背負って、その上で冷静に正しい判断をしろと言うのも酷な話だろう。



 先生としては、俺を頼りたかったようだが俺だって自分が全て正しい判断をできているなんて思ってない。そこで、あくまで先生が舵を取りつつ全員で話し合って意見を出し合おうと決め、その流れをつくる為にこうして一芝居うつ事になったのだ。



「とりあえず、今からみんなで拾った木を使って火が起こさないか試してみましょう。それで今日はここで夜を明かして明日から森の方に全員で川を探しに出ようと思うのだけど、何か意見はあるかしら?」



 少し待ってみたが意見は出そうにない。まぁ、最優先事項が飲み水の確保と食料の確保という事は流石にみんなわかっているだろう。というか、逆にそれ以外に今すべき事が無いのだ。無駄に体力を消費するわけにもいかないからな。



 先生の意見に俺は事前に決めていた通り挙手をする。



「はい、渋谷くん」



 先生が俺を指名する。



 、、、なんだか学校の授業を思い出すやりとりだ。まだここに来て1日も経ってないのに随分と昔に感じる。



「夜は交代で見張ることにしませんか?餌もない岩場ですし人を襲う様な動物がいたとしても中々降りて来ないかとは思いますが、、、見張るにこした事はないと思いますし」



「そうね、そうしましょう。とりあえず今日の夜は私が見張りに立つわ」



 先生が俺の提案に頷きながらそう言ってくる。



 ちなみに、ここまでが打ち合わせで決めていた内容だ。あくまで意見を出し合う流れをつけるだけ、あとは誰かからいい案が出たらそれを拾っていけばいい。



「いや、今日は俺が見張りしますよ。体力的にも余裕ありますし」



 明日の探索を寝不足の状態で行う事になるが見張りもなしに夜を明かすよりはずっとマシだろう。何より俺が言い出しっぺだしな。そう考えた俺がさっそく意見を出すと先生が即座に否定してくる。



「それはダメよ。考えたくないけど、もしも危険な何かが起こった場合、もちろん即座に逃げるべきだけれどそれも叶わない時、この中で1番なんとかできる可能性があるのが渋谷くんだと思うの。だから貴方には万全の状態でいてもらわないと困るわ」



「はあ?コイツが?冗談でしょ先生」



「私たちがやっても勝てるんじゃないの?こいつ」



 先生の言葉に盛島と広瀬の2人が騒ぎ始める。



 、、、またコイツらか。

 俺は頭が痛くなるのを感じつつ2人に言葉を返す。



「なぁ、俺が何かしたなら謝るしシンプルに嫌いってんならそれでもいい。別に仲良くしようとまでは言わないからせめて島にいる間くらいはいちいち突っかかってくるのはやめてくれないか?」



 今の状況は理解してるだろ?と暗に問うと嗜める様な俺の態度が気に食わなかったのか2人は更に怒りの表情を浮かべ口を開こうとしたが今度は先生が即座に割り込んできた。



「貴女達いい加減にしなさいと言ってるでしょう!!今はそんなことしてる場合じゃないってわかるでしょう?」



 先生が強めの口調で注意すると2人はまだ納得のいっていなさそうな表情だったがそれ以上は何も言わなかった。



 、、、コイツら、先生には強く出れないとかファッション不良かよ。



 同学年に数人はいるやたらと俺はワルだぜアピールをして武勇伝なんかを自慢してくるが授業は真面目に受けるし喧嘩とかも全然しないタイプだ。



 、、、そう思って見るとだんだんとかわいく見えてくるな。きっと背伸びしたいお年頃なのだろう。あるよね、そう言う時期。



 俺は無言で2人に生暖かい視線を向けてから先生に改めて言い直す。



「やっぱり、今日は俺が見張りをしますよ。明日の探索に支障が出ると感じたら必ず先生に交代をお願いしに行きますから」



 視線で「わかりますよね?」と暗に訴えかけると先生はしばらく悩んでから渋々、といった様子で頷く。



「、、、わかったわ。でも無理は絶対に禁物よ?」



 俺は先生の言葉に苦笑いしつつ頷いたのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーー



 その後、微妙な空気のまま全員で火起こしに取り組んでいたが結局誰も火を灯せないまま辺りは暗闇に包まれた。やはり素人がやってもそううまくいくものではないらしい。



 俺は正直、なんとなくつかない気がしていたのでそれほどでもなかったがみんなは明らかに落胆と疲れが滲んだ表情になっていた。熊谷は相変わらず無表情でよくわからないが、、、



 ーーーーーーーーーーーーーー



 結局火起こしを諦めた俺達は荷物の中からお土産を引っ張り出して節約の為に1人につき2個ずつお菓子を食べた。ちなみに、食料は全員納得の上でそれぞれが持ってる物を先生に預けてその上で均等に分けてある。


 そして食事を取り終えた俺は、まだ皆が眠るまでには時間があったのでその間仮眠をとらせてもらう事になり1時間とちょっとの仮眠を終えて皆と交代して見張を始めようという時に熊谷から声をかけられた。



「ちょっといい?」



「ん?どした?」



 俺が返事すると熊谷は無言でスタスタと他のメンバーから離れる様に歩いていく。



 、、、聞かれたくない話か?



 なんだろう?と思いつつついていくと不意に足を止めた熊谷が振り替えつつこちらをじっと見つめてくる。



「、、、熊谷?」



「、、、、、」



 俺が声をかけるが熊谷は無言のままじっと見つめてくる。



 、、、え?なにこの空気。

 、、、あらヤダ、告白!?



()()、私は渋谷くんの味方になるから。だから、渋谷くんも私の事を信じて、お願い」



 、、、どうやら違うらしい。ひょっとして告白でもされるのかしらん?!とアホな事を考えていた俺に熊谷はいつもの無表情でそう告げてきた。



「お、、、おう?、、、ありがとう?」



 俺は戸惑いつつなんとかそう返した。

 明日味方になる?

 え?今は違うの?



 俺が訳がわからず困惑していると熊谷は「今言える事はそれだけ」とだけ言い残し呆けている俺を放置してさっさとみんなの所に行ってしまう。



「なんなんだ、、、」



 ひたすら困惑するしかない俺だったが、その答えは翌朝すぐにわかる事になるのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


個人的に一話一話が長すぎる感があるので出来るだけ2000〜3000文字の間くらいで収まるように頑張ってみます。


感想、ご指摘などお待ちしております。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 「コイツら、先生の前ではいい子ちゃんとかファッション不良かよ。」 面白かったです!! [一言] 頑張ってください! 更新待ってます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ