六角の使者、長島殲滅。
前半は子煩悩になった爺、
中盤あたりに六角家からの使者、 ←ここでポロっとある物が完成しますw
後半が長島殲滅になります。
長島殲滅戦では総動員令を出しています。
天文13年(1544年) 3月某日
━━━━平手政秀 齢51 尾張国 清洲城━━━━
この年の冬は例年よりも雪も少なく、暖かい日が多くある年であった。
「かわえぇ~のぉ~、かわえぇ~のぉ~。我が子はほんにかわえぇ~のぉ~。この子達の健やかな顔を見ておったら癒されるわい。」
両隣に居る佑と葵の二人と共に、赤子を両手に抱いて顔の表情筋を『これでもか!』と緩めながら、政秀は己が二人の赤子を見てニヤけていた。
そんな政秀の三の丸屋敷に足音を立て、慌てている用な困惑している用な足取りで、政秀の居る堀炬燵部屋にやって来た。
「政秀、居るか?近江の六角家から救援要請が来ておるんじゃ……が?って、お主何をやっとる?」
堀炬燵に入りながら、信秀に両手で抱えている赤子を見せながら、
「ん?見て分かりませぬか。儂の子を両の手で抱いておるのですが?」
「あ、うん……じゃなくて!!近江の六角家から『伊賀国で一揆が起こったから、そちらにも派生するかもしれんから抑えるの手伝ってくれ』と救援要請が来たんだが……」
と、『厄介事を持って来おって』とホトホト困り果てた顔を信秀にしていたが、
「放っておきましょう。なにせ伊賀国は今だ六角家の領土ですし。それに伊賀だけとも限りますまい。あ、立ち話もなんですから炬燵にでも入られてわ?」
「いや……じゃがな……一応、正式な救援要請じゃぞ?」
と、言いつつしっかりと炬燵に足を入れる信秀であった。
「そのように謀った六角家の計略かもしれませんぞ?」
現に伊賀国は六角家の領土だし、その書状が計略じゃないとも言えない……行っても何ができるかともなると、損害くらいだけになるじゃろうな。
「………正直に言え。ただ単に両手に抱いとる己の子から離れたくないだけだろ。」
「それの何がいけないので?」
手伝い戦行くよりも子の傍に少しでも居てやりたいと、思うだけなんじゃがな。
「そうは言うが政秀、伊賀国の切り取り出来れば後々楽になるだろ。」
「……佑、葵、子等と共に、ちと席を外してくれぬか?」
と二人に良い、部屋から立ち去ったのを確認し、信秀と二人になるのであった。
「さて、六角がそれを認めるかですな。伊賀の四郡が此方に落ちれば、戦略の幅は増えますが厳しいでしょうな。まあ、伊賀が手に入ればこちら側が雇っている忍業に就いている者達の符号も決めんといけませんからな・・・」
【鼠=情報 蛇=暗殺 兎=娼婦 猫=スリ 狐=詐欺 犬=密偵 穴熊=冒険者
といった感じの符号です。】
「うむ、実はな……此度の救援の書状を持って来た使者も問題なんじゃがな。持ってきた使者は三人。蒲生定秀殿、進藤貞治殿、そして六角義賢殿だ。」
その使者の名前を聞いたと共に、飲もうとした茶を吹き、咳き込んでしまった。
「ゴホッゴホゥ、ゴホッ……ちょっと待ちを……。六角家の主力ではないですか!?しかも次期御当主殿もですか!と言う事は……、相当切羽詰っているようですな……その三方が使者として来ているのなら真実味はありますな。」
「その事で話に来たら、アノ状態じゃったんじゃろうが!」
「団欒の一時だったのですから、仕方のないことでしょう。それで使者殿はどちらに?」
「うむ、春先とは言えまだ寒い日もあるからな、とりあえず「二の丸御殿の炬燵之間」【冬専用です。】に通してある。」
そうして、信秀様と共に「二の丸御殿の炬燵之間」に行ったのだが……お三方、炬燵の虜になっておった。
ー尾張国 清洲城 二の丸御殿 炬燵之間ー
「この炬燵という物は、なかなか良いですなぁ~。」【蒲生定秀】
「たしかに、それにこの茶請けとやらの菓子も温かく、そして甘く美味いですな。中の小豆の具合いがなんともw」【進藤貞治】
「これほどの物を、このような時期に用意できるとは、織田家侮りがたし!」【六角義賢】
その三人に若手衆の一人が信秀と政秀が「もうじき此方に参ります」と告げ、新しく入れ直した暖かい緑茶を用意するのだった。
そして……、初めは穏やかな流れでの話ではあったが、しだいに双方の話は紛糾し!
「伊賀は六角領であるから、兵を入れるのは此方としては攻め込んだと、受け取られても仕方のないことであろう!?」
「ですが、兵を入れねば収まらぬわけでして……」
「せめてこちらが、伊賀北部を抑えることが出来れば……」
「それは実質、伊賀南部も手に入れることになるでしょう!?」
「京の公家衆からも再三『東海道整備して!!』と文も来てな?そこは織田家の領地ではないからと言ってはいるのだが……」
「さすがに街道整備は此方の軍事上……」
「だから伊賀北部を、こちらに譲って頂ければ東海道でなく大和街道の方を……!」
「それで、伊賀北部を限定的に譲ったとしても、伊賀は織田領になるのでしょう!」
「先のことを考えれなければ、六角家は滅ぶぞ?【正確には滅ぼすのだがな・・・】織田家が伊賀北部を抑え、大和街道を整備し河内和泉まで繋げればその効果は近江にも波及するじゃろう?そういうことも踏まえて、こちらは言っておるんじゃ。まあ、大和街道は東海道整備の代用じゃが、その絵空事に夢見てもいかん。東海道ではないだけマシじゃろう?どうするのか決めるのはお主らじゃw伊賀北部を譲ることで、織田家の兵を入れ込み平穏を取り戻すか。それともその逆をとるか。」
それからも話し合いは続いたが終着点が見つからず、話し合いは翌日に持ち越されることになり使者の歓待をした、その際にようやく完成の日の目を見た「硝子細工」の器を使った趣向を尽くした料理でもてなすのであった。
「これで少しは折れてくれると良いのだが、そう簡単には如何ぬであろうな。じゃが、ようやく硝子製品を作れるまでに至った。瓶詰めに薬油、薬瓶もこれで行けるじゃろうて。薬油に薬瓶は義父上を通して、主上に贈るか。」
歓待の宴の後、一人執務部屋にて長島攻略に関しての計略を練っていた。
「長島の一向宗……、一向宗門徒達に当てた『贋書の計』と、門徒と僧兵に向けた『二虎競食の計』が、じわりと聞いておるな。そろそろ僧兵どもにも送りつけた『贋書の計』も頃合かの……。それに特典の【増減・隆起沈降】を使って長島の地を時をかけて沈降させて海抜5cmぐらいにしておいたしな。」
門徒達には僧兵が織田家対しに『門徒達の貯め込んだ金財を渡すから、自分達だけは助けてくれ』と、僧兵達には門徒達が『これ以上僧兵達だけが、美味い飯を食うのは許せない。奴らの貯めた金財を渡すから自分達は助けてくれ』という贋書【偽りの手紙】を送りつけてある。
その助かりたいが為に、二匹の飢えた虎の間に餌【助命】を投げ与えれば、二匹は餌【助命】を奪い合って争う。
一匹は倒れ、勝った一匹も満身傷だらけになれば、二匹を仕留めるのも容易くなるという計略で内部分裂に拍車をかる。
「信秀様にも梅雨に入ると同時に貯水池と堰堤を総開放し、長島を水責めにて落とすことも計画書に認めんとな。まあ、堰堤もこの一回のために作ったものじゃしな……」
そうして周りを着実に固め、きたる天文13年(1544年)6月……
対岸に逃げられぬよう柵で囲み、海上からは船による艦砲射撃、上流側しかない逃げ道は改良された仏郎機銃にて逃亡を封じられ、そこを貯水池と堰堤の水門破壊による川の増水により、長島は2mを越す水量を受け水没……
何とか生き延びた者達も織田領内より総動員令を出された織田兵によって蹂躙されるのであった。
その際、平手政秀では前線で大矢倉に立ち銅製の拡声器を持って大声で、このように織田の将兵に叫び厳命したという。
「織田の将兵達に告ぐ、殲滅せよ!女子供一人たりとも逃がしてはならぬ!逃せし者は族滅に処す!この命、厳命とし行うように!長島一向宗を殲滅せよ!」
そして長島近くに設営した大矢倉にて、誰にも聞こえぬような細い声で残した言葉が……
「長島の者共よ……済まぬな、織田家の礎になってもらうぞ。恨むのならば石山本願寺に恨みを向けるのだな。」
その後、伝えられた話と後世に伝わった側近・海本阿喃楷巧の伝記によると、長島勢の死者7万、織田勢の死者5千……総動員令により招集された兵力は10万に上がったという……
砲身に改良を加えた仏郎機炮による艦砲射撃、改良型仏郎機炮を元に火縄銃を改良した仏郎機銃、そして河川氾濫による洪水……
この話を聞いた六角家は、織田家に対し伊賀国の譲渡を行ったと言う。
砲身に改良を加えた仏郎機炮は、ライフリング付いた物になります。
改良型仏郎機炮を元に火縄銃を改良した仏郎機銃は、火縄銃の形をした上に上げた物にと思ってください。
そして長島周辺を流れる河川の中流域の貯水池と、
上流域の堰堤【ダムです】を破壊して洪水による被害を与えた形にしました。
そして収まったところを、総動員した招聘で蹂躙という形で収めてみました。
運良く海に流された者達も、船からの仏郎機銃で殺されています。
次話は伊賀国内になるかと……(ただし確定ではない!)




