近衛戦記
【近衛騎士団】
<フォルティス・ブランデル>
性別:男
年齢:二十歳代後半
近衛騎士団の若き団長。
ダルリア王国の大貴族であり執政者である元老ブランデル家の当主でもあるが、現在ブランデル家は元老の地位を放棄しているため元老ではない。
幼少の頃に両親が他界した後は、王家であるカイザス家に引き取られ育てられる。養子に入ったわけではないため家族関係は無いが、国王ウォルト、王妃フロリアを実の親と同様に大切に思っている。
第一王女レニス・カイザス、第二王女クリシス・カイザス、そして同じく王宮で育ったルナ・コルを妹のように思っているが、あまり態度に出すことはない。
剣の腕は、クラウス、ボストと並んで近衛騎士団随一。
また、年齢は若いが近衛騎士団にはクラウスと共に十四歳で見習いとして入っており、近衛騎士となって十五年近く経過している。
<クラウス・サビオ>
性別:男
年齢:二十歳代後半
近衛騎士団の作戦立案者である参謀長。
フォルティスと同時に近衛騎士団に入団し、最も信頼する者であり親友。
元老家の一角であるダルリア王国の西方地域ボストラーゴを治めるサビオ家の次兄。母親クレーネ・サビオが元老となっている。
兄が一人いる。
参謀長であったフォルティスが近衛騎士団長に昇格した際に、フォルティスにより参謀長に任命される。
剣の腕も超一流だが、非常に頭脳明晰であり生真面目。近衛騎士団一忙しい役職である参謀長を涼しい顔でこなす。
融通が利かないところもあるが、あまり細かいことを気にしないフォルティスにとってはむしろありがたい存在。
葡萄酒とチーズが好物。葡萄酒を語らせたら右に出るものはいない。
王宮で働く女性は一度はクラウスに恋をするという伝説を持つ。
<ボスト・バンテス>
性別:男
年齢:五十代半ば
近衛騎士団の大公宮最高責任者である副団長。
既婚者。
前団長時代からの副団長であり、近衛騎士団の精神的支柱。
前団長が勇退した際に、国王ウォルトより団長を打診されるが、年齢を理由に固辞。変わりにフォルティスを勧める。
自分は前時代の騎士と思っており、常に一歩引いている。
剣の腕も超一流だが、剣よりも槍の方が得意。
酒が好きで異常な程の酒豪。どれだけ飲んでも酔うことが無い。王国騎士団の団長であるルーク・アステイオンと同期であり、道は違えどともに騎士を目指し研鑽を積んできた。
<ルナ・コル>
性別:女
年齢:十八歳
近衛騎士団の見習い。
アルデア帝国により故郷であるヒリーフ村を壊滅させられ、その際に両親を失い孤児となる。
国王ウォルトにより一度王都ルキアの孤児院に預けられるが、将来女王となるレニスの専属近衛騎士にするべく引き取られ王宮で育つ。
王妃フロリアを母と思っており、レニス、クリシスとも実の姉妹のように育つ。ウォルトとは若干の距離がある。
フォルティスを兄のように慕っており、その後を追うように自らも十八歳になると同時に自ら近衛騎士団に志願した。。
剣の才能も高く、特に技の速さはフォルティスやクラウスも舌を巻く。
クラウスに常に怒られており、苦手としている。
<グレン・イファス>
性別:男
年齢:三十歳前後
近衛騎士。
有能な近衛騎士であり、三騎士から直接任務を任されることが多い。
ルナ・コルの事実上の教育係。
出身家であるイファス家は公都シーキスに居を構える一般貴族の出であり、グレンはイファス家の次兄。
【カイザス王家】
<ウォルト・カイザス>
性別:男
年齢:五十歳代
ダルリア王国国王。元老会議議長。
民思いの賢王として、国民からの信頼を集めている。
友人でもあり、もっとも信頼する元老だったマティアス・ブランデルが死去した際に、引き取り手のいなかった子のフォルティス・ブランデルを引き取り王宮で育てる。
しかし、将来は元老として父親と同じく自らの片腕となることを期待していたが、フォルティスは自分を育てた恩を返すために近衛騎士の道を選んでしまった。
また、十二年前のアルデア帝国からの侵攻時に壊滅したヒリーフ村にいたルナ・コルを将来は近衛騎士として娘であり第一王位継承者であるレニス専属の近衛騎士とするべく、引き取る。
しかし、フロリアが必要以上にルナ・コルを気に掛けたこともあり、結局はルナ・コルに近衛騎士になることを勧めることは無かったが、最後はルナ・コルがフロリアの反対を押し切って自ら近衛騎士になった。
<フロリア・オルコット・カイザス>
性別:女
年齢:四十歳代
ダルリア王国王妃。
実の娘であるレニスやクリシスは元より、血の繋がらないフォルティスやルナも自分の子供のように分け隔てなく接する。フォルティスやルナにとっても母親のような存在。
誰に対しても心優しく、話し方も基本は敬語である。
大地母神マテルを敬愛し、深い信仰心を持っている。
ルナが近衛騎士となったことに今でも強く反対しており、その将来を心配している。
<レニス・カイザス>
性別:女
年齢:十九歳
長女。ダルリア王国第一王位継承者。
次期国王(女王)としての自覚を強く持ち、常に気丈に振る舞う。ルナにとっても姉のような存在。実妹のクリシスには厳しく、クリシスの魔法学の勉強の際は常に逃げ出さないように見張っている。
外見はフロリアに似ている。
ルナの良き理解者。
<クリシス・カイザス>
性別:女
年齢:十五歳
次女。ダルリア王国第二王位継承者。
王家の者という感覚が薄くおてんば。時折王宮を抜けだしてはフォルティス達近衛騎士団を困らせている。
魔力を持っており、魔法学を学んでいるが勉強嫌いであり、レニスの見張りがないとすぐにサボる。
いたずら好き。
<アウロ・グラウィス>
性別:男
年齢:四十歳代
ダルリア王国の大公。
グラウィス家はダルリア王国建国時の王の弟が起こした家柄であり、カイザス家以外では唯一王位継承権を有する家柄。
但し、グラウィス家の王位継承権は当主のみが保持しており、カイザス家が断絶した時のみ行使されるため、グラウィス家から王が出たことは無い。
普段は王都ルキアの東にある公都シーキスににある大公宮で暮らしている。
公都シーキスは外交と防衛以外の自治が認められている。
【元老家】
<クレーネ・サビオ>
性別:女
年齢:五十歳代
王都の西方ボストラーゴにある観光都市リーフポートの領主。
近衛参謀長であるクラウス・サビオの母親。
ボストラーゴは古くからサビオ家によって治められており、民からの信頼も厚い。
夫である元近衛参謀長オルド・エル・サビオには先立たれている。
クラウスの他にもう一人クラウスの兄であるシリルがいるが、現在は公都シーキスにある大公宮に住んでいる。息子が両方とも家を出ていることが悩みの種。
シリルはまめに手紙をくれるが、クラウスはあまり連絡をよこさないとのこと。
<シリル・サビオ>
性別:男
年齢:三十歳前後
クラウス・サビオの兄であり、次期サビオ卿。
現在は公都シーキスにある大公宮おり、大公アウロの元で政治を学びながら、政務に勤しんでいる。
政務能力はアウロも高く評価しており、次期元老として太鼓判を押されている。
しかし、文武両道に長けた弟クラウスに負い目を感じており、サビオ家の当主の座を本気で譲ろうかと思っているが、当のクラウスにはまったくその気が無く、よく胃を痛めている。
<オルド・エル・サビオ(故人)>
性別:男
年齢:故人
クレーネの夫であり、シリルとクラウスの父親。
生前はクラウスと同じく、近衛騎士団の参謀長。前団長であるダレン・ヴィスタ・バサルトの右腕。
非常に厳格な性格をしており、妻であり元老であるクレーネとも職務中に合えば常に参謀長として接し続け、クレーネに嫌がられていた。
<フォンス・オルコット>
性別:男
年齢:五十歳代
王都の南方にある港湾都市オーシャルカーフの領主。
オルコット家は王妃フロリア・オルコット・カイザスの出身家でもあり、フォンスはフロリアの実兄。
オーシャルカーフは南の海カリフ海に面しており海運業が盛んである。
オルコット家はその海運業の代々取り仕切っている。
オルコット家はブランデル家と並んで、建国当時からの元老家である。
<コルト・リウス>
性別:男
年齢:五十歳代
王都の北方にある鉱山都市マウトサントの領主。
リウス家はマウトサントの近くにある鉱山の採掘を長年行っいる。近くに住むドワーフ族とも縁が深く、マウトサントの街には多くのドワーフ族がいる。
十二年前のアルデア帝国のダルリア王国侵攻時に攻め込まれたのがリウス家の領地であり、ルナ・コルの出身地であるヒリーフ村もリウス家の領地である。
そのため、何かとルナ・コルを気にかけている。
<オリゴ・ヴェチル>
性別:男
年齢:五十歳代
ヴェチル家は王都最大の交易商であり、他国への交易路も仕切っている。
昔からその地位にあるが、近年オリゴが当主になっていこう更に力を付けてきており、ブランデル家の元老家離脱を受けて新たな元老家に任命された。
商業や経済に強いが、政策もその方面に偏ることが多い。
元老家の交代は本来元老家の断絶により行われるが、ブランデル家とヴェチル家の交代は例外的でブランデル家は断絶していない。
そのため、ブランデル家が元老復帰を表明すれば自分は元老家の立場を奪われるのではと感じており、ブランデル家の当主であるフォルティス・ブランデルにつらく当たることが多い。
<レトラ・バサルト>
性別:男
年齢:五十歳代
王都ルキアに住む元老。
王都の小売業を取り仕切る立場。
マティアス・ブランデルが死去した後、しばらくの間王都ルキアの政務を任されていたが、本業との両立が難しく現在はヴェチル家と共同で行なっている。
<マティアス・ブランデル(故人)>
性別:男
年齢:故人
近衛騎士団長フォルティス・ブランデルの父親。
ブランデル家は建国時から元老家であり、ダルリア王国では大公家であるグラウィス家に次ぐ家柄。
王都ルキアの政務を取り仕切る立場だった。
元老家筆頭ともいえる立場の人物であったが、フォルティスが幼少の頃に病死した。
大変な人格者であったらしく、死去から二十年以上たった現在も王都ルキアの民から慕われており、墓は常に民によって手入れされている。
元老家の地位は現当主であるフォルティスにより現在は放棄している。
<ナリアナ・カリファ・ブランデル(故人)>
性別:女
年齢:故人
近衛騎士団長フォルティス・ブランデルの母親。
フォルティスが生まれて直ぐに死去した。
【王国騎士団】
<ルーク・アステイオン>
性別:男
年齢:五十歳半ば
王国騎士団の団長兼王都防衛師団の師団長。
騎士からの叩き上げで団長にまで上り詰め、細かいことはまったく気にしない豪快な人物。
十二年前のアルデア帝国によるダルリア王国侵攻時に緊急展開師団の師団長として、アルデア帝国軍を退けヒリーフ村を奪還した。
ダルリア王国の英雄としてその勇名は大陸中に響いており、アルデア帝国からは要注意人物として扱われている。
近衛騎士団の副団長であるボスト・バンテスとは旧知の仲であり、騎士となる前は共に研鑽を積んでいた。
<スタイン・プハロス>
性別:男
年齢:四十歳代
王国騎士団の副団長兼緊急防衛師団の師団長。
増援専門の師団である緊急展開師団の団長も努めており、戦術にも長けている。
平時はルークと共に王都ルキアにある王国騎士団の大砦クラウストルムに詰めているが、その為あまり事務作業をやりたがらないルークに、その大半を押し付けられている苦労人。
<カストス・ミーズ・ペクシス>
性別:男
年齢:六十歳代
王国騎士団の軍師長兼王都防衛師団の軍師官。
王国騎士団の各師団で作戦立案を担当している軍師官達の長。王国騎士団全体としての作戦立案を行なっている。
長年に渡って軍師長を努めており、王国騎士団の一員の中では最長老。
その有能さに後任の軍師長となれる者が現れず、引退が伸びている。
<エルス・アナント>
性別:男
年齢:四十歳前後
王国騎士団の方面師団の一つ、西方師団の師団長。
十二年前のアルデア帝国のダルリア王国侵攻時に北方師団の大隊長の一人として参加しており、その際に部下を庇い左腕を失った隻腕の騎士。
そのためか、部下からの信頼がとても厚い。
<オルカ・ティグリス>
性別:男
年齢:四十歳前後
王国騎士団の方面師団の一つ、北方師団の師団長。
帝国と国境を接する北方地方を任されている。アルデア帝国がダルリア王国に侵攻された際に前線派遣される。
<ラファエル・フォルリ->
性別:男
年齢:四十歳代
王国騎士団の防衛師団の一つ、公都防衛師団の師団長。
ダルリア王国で王都ルキアに次ぐ重要都市にして、大公アウロ・グラウィスが住む公都シーキスの防衛に当たっている。
同期である副団長スタイン・プハロスと並んで次期団長と名高い。
【アルデア帝国】
<バルド・グラネルト>
性別:男
年齢:六十歳代
アルデア帝国国王。二十年程前に行われた国王選出選挙時に選ばれた者。
覇権主義者であり、かつアルデア帝国の民が帝国による大陸統一を願っていると感じているため、その実行に尽力している。
大陸に複数の国が存在していることが戦争が発生する要因と考えており、一国による統一が大陸に真の平和をもたらす手段だという思いも強い。
内政能力も高く、民からの支持も非常に高い。
非常に無口であるため、その心底を知るものは少ない。
同じく民から選ばれた評議員達で構成する帝国評議会を軽視しており、ガイズ・ボトとの衝突が絶えない。
<ガイズ・ボト>
性別:男
年齢:六十歳代
帝国評議会議長。
長年評議員を努め、現在は議会の長として評議員達を取りまとめている。
アルデア帝国の執政者の中では数少ない穏健派であり、バルド・グラネルトの帝国による大陸統一を支持しておらず、他国と友好関係を結び共に発展していくことが帝国の将来のためになると考えている。
バルド・グラネルトとは折が合わず対立することが多いが、評議会自体はバルドの政策に賛成することが多く、苦悩している。
<フェルツ・トリアス>
性別:男
年齢:六十歳代
帝国評議会の評議員。
ガイズ・ボトと同時期に評議員となっており、ガイズ・ボトの同志のような存在。
人脈が広く情報通。
<ティーシア・ニスター>
性別:女
年齢:五十歳代
帝国評議会の評議員であり、帝国立魔法学校の校長。
自身も大陸有数の魔法士として名を馳せている人物。その実力は自然魔法、陣魔法共に大陸でも五本の指に入ると言われている。
正義感が強いが戦争を好まず、ガイズ・ボトの意見に賛同している。
<ザイル・ダイメル>
性別:男
年齢:三十歳代
国王付き政務官。
非常に実務能力に長けた人物であり、内政から外交まで幅広くこなすことが出来る。
政務官とは帝国で内政及び外交の実務担当する文官の役職である。しかし、本来「国王付き政務官」という役職は無かったが、ザイルの有能さに目を止めたバルド・グラネルトが自らの専属実務担当とするべく、抜擢した。
野心も高く、バルド・グラネルトの次の国王の座を狙っていると言われている。
ディアノという恋人兼秘書がいる。
【セシル王国】
<ヴィント・セシアル>
性別:男
年齢:五十歳代
セシル王国国王。セシル王国は絶対王政に近い君主制ほぼ全ての決定権を持つ。
セシル王国が小国であり、国力も低いため敢えて他国とは交流を持たずに国家を運営していた。しかし、アルデア帝国の覇権主義を警戒し、他国へと目を向け始める。
息子カナリス・セシアルがいるが、病弱であり母親が死んでから塞ぎ込んでいるため、ヴィントはその将来を心配しており、国の問題は自分の代で片付けようと考えている。
<ウィリス・ロカ>
性別:男
年齢:四十歳代
セシル王国の軍人。
セシアル家に忠誠を誓っており、軍事関係の事は全て任されている。
正義感が強く義理堅いが、セシアル家の命令はその全てを超える。