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RDW+RTA ~リアルダンジョンズワールド プラス リアルタイムアタック~  作者: 相生蒼尉
第2章 『RDW+RTA+FUCHU+FUTSU act H3 ~3人のヒドインたちによる、附中とフツーの物語~』

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39 鳳凰暦2020年4月17日 金曜日放課後 国立ヨモツ大学附属高等学校女子寮


 放課後のダンジョンが禁止となったので、私――浦上姫乃は訓練場へ行こうとしたのだが、それもダメだと言われた。仕方なく、大人しく寮へと戻った。ダンジョンに行かず、訓練場にも行かないとなると、本当に時間が余ってしまう。とりあえず、できることは座学の勉強だろう。


 夕食までの間は、できるだけ勉強しようと気合を入れたところで、ドアをノックする音が聞こえた。

 ドアを開けると、外村がいた。


「どーも。ちょっと話があるんだけど?」

「このままでいい? それとも、入る?」

「んー、どっちでも」


 私は気になっていたことがあったので、外村を自分の部屋へと招き入れた。


「特に、飲み物とかも出せないわ」

「おかまいなくー」


 外村には勉強机の椅子に座ってもらって、私はベッドに座る。

 外村は私の勉強机を見た。


「……やっぱ、真面目だね、次席は。まだテスト週間じゃないよー?」

「準備はしっかりとやっときたい方だから」

「ふーん、そっか」

「で、外村さんの話って何?」

「明日、お昼、空けといてほしいんだよね」

「明日のお昼? どうして?」

「うーん。情報交換、かな? 他の人たちの状況とか、ソロならわかんないよね? 浦上さんも知りたくない?」

「……それは、知りたいわね。何時に、どこで?」

「明日の12時で、ギルドの3階、第6ミーティングルーム」

「12時、ギルド3階、第6、ね」

「よかったー。断られたらどうしようかと思ってたよー。あ、お昼も食べられるからそのつもりで」

「それよりも、聞きたいことがあるわ」

「え? 何?」


 私はじいっと外村さんの目を見つめた。


「水曜日の昼休み、平坂さんのこと、わざわざ煽ってたわね。どうして? 友達じゃないの?」

「あー、やっぱ気づいてた? さすがだね。いろいろと能力高いや」


 くすくすと外村が笑う。


「どうして?」

「そりゃ、あたしがモモっちを追い越すために決まってるっしょ? 他にある? あのままあの子なら職員室へ乗り込むだろーし、うまくすれば土日のダン禁もあったかもしれないし。残念ながら、予想以上に軽い罰になったけどねー。花壇の水やりで許すとか、さっすがのサエバっちだよ、全く」

「なんでそんな、汚い真似を……」

「あれ? そういうの、見たことないはずないよね?」


 外村がふいに真剣な顔になった。


「浦上さんくらい、運動能力も学習能力も高くて、なんでもできるタイプが、周りから嫉妬されなかったなんて、有り得ないっしょ? 悪口、陰口、いじめ、ひょっとしたら犯罪だって、身近にあったんじゃないの? 人間の醜さとか、薄汚さとか、散々、見てきたと思うけど、違う?」

「それは……」

「つまり、そういうものは当たり前にあるってことだよ」

「だからといって、やっていいって訳じゃないわ」

「それはそーだね」

「それに、そのこと、平坂さんが知ったら、悲しむと思う」

「あー、そこはモモっちのこと、甘く見てるかなー」

「え?」

「あの子はそんな弱っちい子じゃないよ。中学ん時からバチバチやってきたあたしが言うんだから間違いない」

「言ってる意味がわからないわ」

「モモっちなら、『あー、トムならそれくらいやるよね。だから?』って感じかな」

「そんな訳……」

「あるよ。だって、トップランカーのパーティーとかクランとかだって、足の引っ張り合い、仕事の奪い合い、そんなの当たり前にやってるし、それを乗り越えないと、跳ね除けないと、トップランカーになんてなれないんだよ? そういうの抜きで何億も稼げると思う? 浦上さん、そういうの、早目に気付いた方がいいよ。これ、お金もらいたいくらいのアドバイスだねー」

「……」

「じゃ、明日、約束は守ってねー」


 そう言うと、外村はそのまま、私の部屋を出て行った。


 残された私の頭の中で、外村に言われた言葉がぐるぐると回っている。もう、今夜は勉強なんて、できそうになかった。







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― 新着の感想 ―
[一言] ドロドロに浦上参戦! そしてついに1章時空を追い越すのか(エピローグのぞく) どんな話なんだろうか 1章エピローグみるに特に何も無かった感あるけど、鈴木はダンジョン漬けでそういうの役に立た…
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