会談
格納庫の隣の休憩室のようなところにクリスは通された。物々しい警備兵達の鋭い視線が突き刺さる。
「会談終了までここで待っていただきます。そこ! お茶でも入れたらどうだ! 」
伍長はぼんやりとクリスを眺めている白いつなぎを着た整備兵を怒鳴りつける。明らかに士気が低い。クリスが最初に感じたのはそんなことだった。
共和軍は北天包囲戦での敗北から、北兼軍閥との西兼の戦いでも魔女機甲隊に足止めを食らい、撤退を余儀なくされていた。中部戦線では人民軍の総攻撃が乾季にはあるとの噂が流れている。そして北兼軍閥と共に人民軍側につくことを表明した東海の花山院軍閥が動き出したという話は兵達まで噂になっているのは確実だった。そして共和軍の切り札ともいえるブルゴーニュ候の南都軍閥は現在東モスレム三派との小競り合いで次第に体力をそぎ落としていることも彼らの耳には届いているのだろう。
「安心しなさいよ! 私等は話し合いに来ただけなんだから! シン少尉がアスジャーン師の親書を…… 」
「うるさい! そこで静かに座っていろ! 」
浅黒い肌の警備兵達が二人の東モスレム三派軍のパイロットを連れてこの狭い休憩所に入ってくる。叫んでいるのは若い女性パイロットだった。確かどこかで見たことがある。クリスはそう思いながら釣り目の少女の顔をちらちらと眺めていた。




