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第2話 気づく

 気づけば僕は中学生となっていた。中学受験はせず、校区割りされている学校へ通った。お隣の小学校の児童と合流する形になる。お隣の小学校はやんちゃな児童が多いと聞いていた。


「お? お前が本能寺の変は影武者説唱えたやつか」


 入学式に席が後ろの生徒が僕にかけてきた言葉だ。嫌味でもなく、ただの噂話からの興味本位で聞いてきたのはわかる。


 ただ、僕にはここですべてが終わる気がした。


 この後、ここにいれば迎える体育祭、文化祭、宿泊行事などすべてが壊れる気がした。目の前が真っ暗になりそうだ。


 ——何から何まで不安だ。


「おい?」

「え……?」


 後ろの生徒は言葉を続ける。


「俺さ、好きなんだよ、そういう常識を覆そうと言う考え」

「常識を覆す……?」

「そりゃそうだろ、授業で聞けば俺らはそれを当たり前の真実と考える」

「……まぁ」


 ふと脳裏にあの放課後の先生の『思想と教育論は別』が頭をよぎった。


「にも関わらず、お前は明智光秀が本能寺の変を起こしたんじゃなくて影武者がと考えて先生に反論した」

「反論というか……」

「かっけぇじゃん」


 同性で今日初めて会った席が後ろの男子生徒にドキッとした。これは恋愛とかじゃなくて褒められて嬉しかったからだろう。


 このまま調子よく中学生活を送るかと思った。


 ここから一気に時間は経ち、中学1年の夏休みの登校日が近いある夜の話だ。


 クラスメイトの女子生徒が目の前にいる。名前も知っている。たまに話す関係だ。でも、連絡先を交換するほど仲良くはない。


「好きだよ、そういうとこ」


 ここで急に場所が変わった。湯気がモクモクたっている。


 僕が手をかざすと湯気は消えてさっきの子が気持ちよさそうに僕と一緒にお風呂に入っている。


 横でジリジリ目覚ましがなった。夢だったのか。


「あー……登校日か」


 この時、僕はこの夢が絶望の始まりとは気づかなかった。


 学校に向かうと会ってなかった学友にみんな話しかけている。僕も仲良かったけど、夏休み期間に会っていなかった友達と話していた。


 夢で見た女子生徒が登校してきた。他の友達と同様、本来であれば久しぶりなはずだ。なにか気まずく感じる。


 そのまま登校日の集会になった。集会は平和についての話が多かった。そして、この学校の変なところで8月頭の登校日に提出の宿題が多い。


 僕はと言えば家でマンガばかり読んで宿題に興味を示さず今日の帰りに読書感想文の課題図書を買いに行こうと思ってるほどだ。


 宿題未提出の生徒は僕と夢に出てきた女子生徒だけだった。先生のお叱りを右から左に流しつつ、今読んでるマンガの続きを考察していた。お叱りの声が左から右に来そうになった。


 ……? ちがう。実際に左からも悪口が聞こえる。


 先生の声じゃない。野球部あたりの元気な声のはずだ。左側にあるのはグラウンドた。野球部とサッカー部がケンカしているような声がずっと聞こえる。それの内容が僕の悪いとこを言い合っている。


 ——不安だ。このまま学校が崩壊して隣の女子生徒を守って死ねたらいいのに……。


 これはいわゆるテロリストから守る妄想と同じようなことだろう。


「帰ろっか」


 一緒に怒られていた女子生徒が僕に声をかけた。


 一緒に下校していた。なにか胸がムズムズして締め付けられる。


 ——この子とはずっと仲良くしたい。


 その日以降僕の夢にはこの子がレギュラー化した。


 それはこの子のことを恋愛の意味で好きになるには簡単すぎた。


「好きだ!」


 2学期に入れば、夢のレギュラーと化した女子生徒に話しかけては『好き』と言っていた。


 そんな時三者面談が来て、先生から僕のこの行動がお母さんにまわった。


「一度ふられたら潔く諦めなさい」


 お母さんからはこう言われた。この頃はインターネットがどこの家庭でも使えるようになり始めた。


 僕は三者面談で言われた先生から見た僕の奇行を単語化して調べた。


『精神科への受診をオススメする』


 どんなサイトにもそんな文言が書いている。インターネットは真実だけじゃない。精神科が儲けたいからそういう風に誘導しているかもしれない。


「あれ?」


 お母さんのパソコンを借りていたのでお母さんが話しかけてきた。検索履歴に見られて恥ずかしいものはない。


「そうね、この前の先生の話聞く限り、1度行ってみるのもありよね……」


 お母さんに言われるがまま、僕は精神科の初診を受けた。何度も受診していくうちに『統合失調症』という診断がくだった。

 

第3話 手に入れた

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