表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹を救うついでに、銀河の治安も守ることにした  作者: 銀河猿


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

プロローグ

「カナン・ラディスト、現着」

俺は通信機に向かって、短く報告を投げた。

『――了解。任務を開始してください』

耳の奥で響く、無機質なオペレーターの声。

視界の先には、残酷なほど平和な光景が広がっている。広場で笑い合う人々、無邪気に走り回る子供たち。

彼らは、自分が今この瞬間に「絶滅の淵」に立っていることなど露ほども知らない。

この星は、驚くほど簡単に消える。

もし俺が一つでも手順を誤り、正体を露呈させれば――銀河治安局の艦隊がこの空を焼き尽くす。

過去に一度だけ、調査員の正体が露呈したことがある。

その結果――その惑星は、調査員もろとも、全生命ごと消去された。

俺は今、その『絶滅の引き金』を握りながら歩いている。

「……任務を開始する」

本来の任務は、惑星の存続を脅かす存在――『害虫』の駆除。

だが、それは表向きの理由に過ぎない。俺がこの血塗られた組織に身を置いているのは、正義のためでも平和のためでもない。

妹を救う方法は、たった一つしかない。

銀河治安局の超科学ですら「延命が限界だ」と宣告したあの病。それを根治させるための“材料”が、この惑星に存在する。

本来なら、ここに来ることすら許されないはずだ。

個人的な目的での惑星介入は、銀河法で厳格に禁じられている。発覚すれば、死よりも重い処分が待っているだろう。

――だが今回は、違う。

『害虫の排除任務を最優先とすること。その過程で得られる範囲に限り、対象物の捜索を黙認する』

上層部が下したのは、そんな都合のいい条件付き命令だった。

要するに――銀河の治安に貢献するなら、妹を救うための行動も見逃してやる、ということだ。

……ふざけた話だ。

利害が一致している間だけ許される“違反”。それが崩れれば、俺は即座に切り捨てられる。

だが、そんなものは正直どうでもいい。

銀河の平和も、惑星の維持も、俺には関係ない。

――妹が助かるなら、俺はどうなっても構わない。

ただし、守らねばならない絶対の掟が一つ。

この星の住人に、俺が何者であるかを知られてはならない。

もし知られれば、その瞬間にこの星は消える。

妹を救うための材料も、この星の未来も、すべてが塵になる。

潜入開始。

俺は、銀河を欺く『幽霊』となった。

――そして同時に、この星の人間として振る舞う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ