第321話 「た、例えばだよ!?」
「それで、逆告白って、具体的にはどうするんだ?」
早霧の墓穴堀りをフォローする。
と言うのもその災いは俺にまで飛び火しているからだ。
いくら同じじぶけん同士でめちゃくちゃ仲が良いとは言え、手を出した出さないの事まで知るのは気まずいからである。
ていうか、先に手を出してきてるのは早霧の方が圧倒的に多いと俺は声を大にして言いたかった。
「…………どうしよ?」
「えぇっ!?」
「お前なぁ……」
そこはノープランだったのか、もしくは墓穴を掘った事により思考が飛んでしまったのか、真剣な顔で首を傾げる。真面目なんだが馬鹿っぽい、っていうかこれに関しては馬鹿だと言って良いだろう。
いつも衝動と思い付きで行動しても、全員が早霧のように上手く行かないのだ。
「た、例えば突然大雨が降りだして、雨宿りした神社の中で二人きり……とか?」
「わぁっ、すてきだねっ! やっぱりすごいよさぎりん! 本当の事みたい!」
「た、例えばだよ!?」
墓穴堀り、ふたたび。
早霧の考えるロマンチックなシチュエーションが限定的過ぎる。
俺だけが分かる事だけど、全部が実体験で説明するのは捨て身すぎるだろう。
まさかこんなところで、基本ずっと家の中にいて俺としか接していなかった弊害が出て来るとは思わなかった。
「う、うん。でもやっぱり、二人きりには……えへへ、なりたい、かな……」
「お祭りのお手伝いだもんね……」
純粋なゆずるが照れくさそうに頬をかいて、早霧がそれに頷く。
昨日決めたボランティアの組み合わせも午前中が俺とゆずる、午後が俺と草壁なので、ゆずると長谷川が一緒になる事は無かった。
「……なあ、そもそもなんだが。ボランティアは夕方までなんだし、夜に自然と二人きりになる作戦を考えた方が自然じゃないか」
「あっ」
「あっ」
二人の声が綺麗にハモる。
早霧もゆずるも律儀な所は律儀だから、ボランティアとお祭りを楽しむ事を一緒にしてしまっていたらしい。
そこが二人の良い所でもあるけれど、流石に真面目な仕事中に二人きりになってアレコレするのは……してるなぁ、俺達。
「さ、流石だよれんじっ! なんていうか、こう……手慣れてるねっ!」
「褒めてるんだよな!?」
「うんうん! 蓮司はね、こういうのすっごい得意だから!」
「早霧は喋るな! 調子に乗ってるとお前も痛い目に合うんだからな!?」
精一杯のボキャブラリーで俺を褒めてくれていると思うゆずると、それに同調してまた墓穴を掘ろうとする早霧を俺は止める。
やっぱり早霧とゆずるの組み合わせは止める人がいないととても危険だ。
最近はそれこそ草壁が加わってくれた事によりツッコミ役が増え……良い緩衝材になってくれているのでとても助かっている。
「まあとにかく、まずはこれからのボランティアを無事にって……ん?」
「どうしたの?」
そんな事を考えながら、話をまとめようとした時だった。
「すまん、何かスマホからめちゃくちゃ通知が……」
手元に置いてあったスマホが震えまくっている。
何だ何だと俺はスマホを手に取り画面を見てみると――。
GOGOO【赤堀っ!】
GOGOO【頼みが!】
GOGOO【あるっ!】
GOGOO【今から!】
GOGOO【お前の!】
GOGOO【家にっ!】
GOGOO【お邪魔!】
GOGOO【しても!】
GOGOO【大丈夫!】
GOGOO【かっ!?】
「読みづらっ!? 一回で送れよっ!!」
――今話題の暑苦しい真っ直ぐな大男までもが、俺の家に来ると言うのだった。




