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【書籍化決定】ねえ親友。今日もキス、しよっか?  作者: ゆめいげつ
最終章 俺たちは幸せなキスをする

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第316話 「……蓮司は、隣にいてくれるよね?」

「ごめんなさい……ご迷惑をおかけしました」

「迷惑なんて思ってないさ。むしろ、よく言えたな」

「あ、ありがとう、ございます……」


 しばらくして。

 泣きながら想いを全部ぶちまけた厚樹少年が、照れくさそうに頭を下げてきた。


 まだ目が赤いのに、本当に優しい子だなと思う。


「オネエチャン、ニャーンちゃん、ありがとう……」

「……うん! 大切にしてね!」

「うん……」


 一方、アイシャの方はまだ少しだけ元気が無かった。

 そんなアイシャに早霧が笑顔で接し、そのブロンドの髪をした頭を優しく撫でる。


 言いたい事を全部言えても、隠していた想いは顔を出してしまったんだ。


「よーしっ! こうしちゃいられねぇぞ厚樹! アイシャ! 俺達に残された時間は少ねぇんだ! 今すぐ家に帰って、祭りの準備だ祭りの!!」


 だけど二人には、友達がいる。


「そうよ! 今年の夏祭りはすごく頑張ってるって、町内会でお父さん達が言ってたわ!」

「さ、サプライズがあるんだって……! た、楽しみだよね……!」


 それも明るく、引っ張ってくれるかけがえのない三人が。


「そうだね。行こう、アイシャ。一緒に!」

「……うん! アイシャも……みんなと、行きたい!」

「うん! もちろん!」


 差し伸べられた厚樹少年の手を、アイシャが掴む。

 見開かれた蒼色の瞳にはまだ涙が浮かんでいたけれど、その声音はとても明るかった。


 これならもう、心配は無さそうだ。


「蓮司お兄さん、早霧お姉さん。ぬいぐるみ、本当にありがとうございました! この後のお祭りもよろしくお願いします!」

「オネエチャン、オニイチャン! ニャーンちゃんのあつき、大事にするね!」


 厚樹少年とアイシャが手を繋ぎながら、反対の手で対になる猫のぬいぐるみを抱きかかえている。

 その顔は泣いた後でお世辞にも綺麗とは言えないが、とてもスッキリしている笑顔だった。


「うん! 幸せのニャーンちゃんだからね!」

「おぉ。夏祭りはこの前一緒にゴミ拾いをした大きかったり小さかったり前髪が長かったりする兄さん姉さん達と仕事をしてるから、よろしくな」


 それに俺と早霧も笑顔を返す。

 自分で言った通り、俺達の本番はこれからだった。


 ボランティア部としてお祭りの手伝いをしながら、最後まで厚樹少年とアイシャを楽しませるんだ。


「よーし! じゃあ兄さん姉さん、また後でなー!」

「みんな一緒って言ったばっかでしょアンタ!? 一人で走るんじゃないわよー!」

「ま、待ってよぉ……! あ、あっくんもアイちゃんも、行こ……?」

「ありがとう、美玖ちゃん! ほら、アイシャも!」

「うんっ! ミク、アツキと一緒にタイチとマリナ捕まえるー!!」


 真っ先に走り出す、太一少年。

 それを追い駆け出す、真里菜。

 置いてかれた美玖が厚樹少年とアイシャに手を伸ばし、二人も揃って走り出す。


 そうして仲良しな五人の小学生達は、元気に揃って公園を飛び出していったんだ。


「…………」

「…………」


 その背中を、俺と早霧は笑顔で見届ける。


「……良かったな」

「……うん」


 そして完全に見えなくなった後、早霧が俺の肩に頭を乗せて寄りかかってきた。

 それを茶化す事はせず、俺は早霧に労いの言葉をかける。


「よく頑張ったな」

「……二人が、みんなが頑張らなきゃ、駄目な事だもん」


 厚樹少年が泣き出してから、早霧は何も言わなかった。

 ただ隣で、厚樹少年が、太一少年達が、そしてアイシャが泣きながら抱き合う姿を下唇を噛みながら見つめていたんだ。

 

 その頑張りを、俺はとても尊重する。


「最高のお姉さんだったぞ」

「……蓮司も、最高のお兄さんだったよ」


 肩に頭を乗せるだけじゃ足りないのか、早霧は俺の手を握り、指を絡めてきた。


「……蓮司は、隣にいてくれるよね?」

「……早霧が、隣にいてほしいならな」


 酷い夏の暑さでも、寂しさのせいかおかげか。

 早霧の熱がとても心地良くて、俺もその指を絡め返した。


「えへへ……じゃあ、ずっと一緒だね」

「そうだな。親友だし、ずっと一緒だ」


 そうしてしばらくの間。

 炎天下の中で俺と早霧はお互いの熱を感じ合っていたんだ。

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