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Side L 可愛いを通り越して、怖いよぉ。

リリス視点。

初めて会ったときは神と対峙したかと思った。


圧倒的な魔力。話では不老不死とされているが、それもあながち間違ってはいないと思う。

さらに神殺しの力もあるから、この黒い少女は相当な魔導士に違いない。

一体、何があったのか?どう鍛えれば、こんな魔力になったのか、想像も付かない。

私も自慢ではないが、魔力は前向きに鍛えている。例えば、魔力を使って闇を生み出したり、結界を張ったり、城に来る魔物や人間、ハーフエルフたちを操って外の様子を探らせたりとしていた。

しかし、目の前の少女だけは違っていた。例えるなら、今にも逃げ出したいくらいの私と圧倒的な強者である黒い少女。勝負はすでに決していた。

勝てる?無理無理。絶対に無理。

私ができることと言えば、この場を穏便に済ませたいだけ。それもこの黒い少女の怒りに触れずにだ。


と、取り敢えず、会話だ会話。


「リリスと申します。あなた様の名前は?」


すると、黒い少女が顔を上げた。

め、メチャメチャ可愛いんですけど!

思わず、スリスリしたくなる。柔らかいほっぺた。そして、自分の身体にあった綺麗な黒色のドレス。


「ええっと。アーニャでしゅ」


か、噛んだぁー!

もう無理、絶対に無理。こんなん反則ですわ――――!

手に持ってた杖をポイっと捨てて、彼女に抱きついた。


「姉さま!」


どれぐらいそうしていただろうか。

妹の言葉に思わず、ハッと我に返って。状況を見た。

わ、私…なんてことをしていたの!?

いくら、ここにいる人たちを操ってても。公の場で、しかも黒い少女に抱きつくなんて…。

ぜ、絶対に殺される。

しかし、何か知らないけど、彼女達は侵略をしに来たのではないという。

もっと言うなら、私に対して魔王になってという。

魔王になること自体は別にそれはそれで構わない。それに、この状況ひょっとしたら、私の願いが叶うかもしれない。

そう思って、血を要求してみると。

黒い少女が何かを話して、近づいてきた。

あ。これはヤバいかも。

絶対に殺される。そう思って、眼を瞑ると。


「頭…ナデナデして」


「え?」


そう言うと、私は目を見開いて…他の従者たちが『あ~。やっぱりかぁ。でしょうね』みたいな反応をしていた。

そして、私はというと。


「え?どういうことですか?」


と聞き返していた。

本当に説明が欲しい。

誰か説明してー。


「頭をナデナデ…して…欲しいな」


黒い少女が再び、無表情で語って頭を差し出してきた。だから、その表情が怖いんだって。

しかし、私にそんなことを突っ込む余裕はなかった。

なんだろう。可愛いを通り越してものすごく怖いんですけど。


「ええっと。本当に触ってもよろしいのですか?」


「うん。いいから。速く」


そんなせがむような代物じゃないと思うんだよなあ。

そう思いながら、彼女の髪の毛に触れると、ぴくッと耳が動いた。

そう言えば、エルフやダークエルフは三半規管が奮起すると、耳がピクピクと動く性質があるという。

ということは気持ちいいのかな?そう思いながら、撫で始めた。

暫く撫で始めると、彼女が自ら自分に抱き着いてきた。

いや。ナニコレ…メチャメチャ、私得なんですけど!

黒い少女が私の胸に身体を埋めながら、呼吸をするたびにその気持ちよさが伝わってくる。

頭をナデナデしているだけなのに…こんなにも気持ち良さそうにしている子を見ると…もっと続けたくなってくる。このためならば、この腕が砕けてもいいとさえ思ってしまう。

そして、しばらく…その可愛さに堪能してしまった。


「ん。もういいよ。ありがとう」


「え?いえ。こんな私でよければいつでも…」


「いや。てっきり、私が頭をナデナデされているうちに血を吸うのかと思っていたけど」


「そんな!わたしはそこまで節操がないわけではないですわ!」


「私…抱き着かれたり、頬をスリスリされたんだけど」


う~。ぐーの根もでない。


「まあまあ…それは多分、ご主人様が…可愛かっただけで…姉さまは…誰でも…抱き着かれるわけじゃないよ」


と、カーミラがフォローしてくれた。


「ふーん。まあいいや……で?」


「はい?」


で?とは?


「私の血を飲むんでしょう?いいよ。いつでも…」


そう言うと、黒い少女が服を脱ぎ始めた。


「ご、ご主人様!そんな!大衆の目の前で…!」


「ん?ああ。そうか。悪いんだけど…リリス様…私達だけにさせて」


「えっと。いいですけど。本当によろしいのですか?」


「ええ。私は構わないわ」


とまあ、そう言うわけで…私と黒い少女は従魔契約を結んでしまった。

黒い少女の血は甘く、それでいて蕩けるような美味しさだった。

とまあ、黒い少女の怖さと血の味と頭をナデナデしている行為によって、彼女がどういった存在なのかを知るきっかけになったようなならなかったような感じがしたのは言うまでもなかったのだった。

次回は新章へ。

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