第１６Ｑ ラスト１分の攻防
『試合を決定づけるシュートが決まった！！大友 和弘。今日４５点目！！ウィンターカップ決勝でこのスコアラーっぷり。高校３年最後の年に３冠達成だ』
「（本当にすごい選手だな大友 和弘）」
高校時代の大友の試合を何度見たことか。ⅮⅤⅮが擦り切れるほど見た武
簡単に得点を重ねる姿。何度も決める逆転シュート
オフェンスセンスが皆無な武はその高いオフェンス力に憧れをいだいていた
「（きっと将来日本代表のエースになるな）」
武は期待してた
武はインカレ優勝した試合のＤＶＤを入手し、早速見た
「（何だ？これ？確かにすごいけどどうしたんだ大友。これなら高校時代の方が）」
高校時代の大友をＤＶＤが擦り切れるほど見た武は気づいたのだ大友の変化に
「（ドライブのキレが悪い、シュートも前よりも安定してない？フォームが崩れている）」
バスケに限らず、他のスポーツでもそうだが、高校時代活躍し、将来を期待されていながらも大学時代に潰れてしまうのは珍しくない
飲酒に喫煙、合コン、車の運転、アルバイトと行動範囲が圧倒的に広がるからだ
「（今はいいかもしれないが、プロでこれはまずい）」
何千、何万ものバスケの試合を見てきて、目が肥えてきた武はそう感じた
「（出来ることなら俺の予想外れてくれていればいいんだけど）」
しかし、武の想いも空しく、武の予想が当たってしまった」
何の因果かその武と憧れの大友が今、マッチアップしている
「（何故落ちぶれてしまったのかはどうでもいい。今は全力であなたを止める）」
ドライブに備える武
「いくぜ」
大友が構える
「（右か？左か？これは右だ）」
武が右に動く
先ほど違い反応できてはいるが
「スピードが足りねぇよ」
グンッ
スピードのギアを上げ、そのまま抜き去り、レイアップを決める
「さっきよりはマシになったがまだ足りねぇよ」
「今度はオレの番です。オレのオフェンスを止めてから言ってくださいよ」
残り４８秒
武にボールが渡る
お互いのチームが邪魔しない
エース全てをに委ねる
両チームのエースの１ＯＮ１
「来いよ、次は止める」
「無理ですよ。ＤＦの意識が低すぎる」
ダムダムキュッキュッ
高速チェンジ発動
「チョコマカチョコマカと」
必死についていこうとするが武の切り返しについてこれず抜かれる
残り３６秒
大友が武を抜きシュートを決める
残り２３秒
武が抜きシュートを決める
両エースが一進一退の攻防を繰り広げる
残り１１秒
ボールは大友へ渡り、構える武
「（まだ左手のドライブは完成度が低い。まぁ右のドライブが鋭すぎて止められるやつがいないから練習する必要が無かったのかもしれないがそこに勝機がある。身体能力の差で普通にやっても止められない。だからこそいい機会だ。これから先、外国人とやるときは必ず身体能力の差がでるんだ。そのために練習してきたんだ）」
スゥ～～～～～
大きく深呼吸をする武
「（深呼吸で余計な力は抜けた、丹田に意識を持っていき呼吸。右に身体を倒す。その倒れる力に逆らわず利用し移動する。後はタイミングだ。トリプルスレットに入った瞬間を狙う）」
タイミングを計る
「（構えが変わったでも、）関係ないね」
トリプルスレットからの右ドライブ
「（今だ！！）」
ドンッ！！
両者ぶつかる
「（何！！？なぜ追いつける？）」
「あああ」
倒れる武
ピピッ～～～～
「オフェンスチャージング」
武がオフェンスチャージをとる
「ちょっとまてよじいちゃん今のはディフェンスだろ」
大友が抗議するが
「いや、一瞬だが彼のほうが早かった」
「ちっ」
渋々戻る
残り７秒
武がボールを持ってリングに向かう
「最後に止め返してやるよ」
ササッ
バックステップで距離をとる
「この距離ならそのステップは使えないだろ」
武はニヤリとする
「いいんですか？そんなに離れて（生き残るために必死に身に着けたこのロングシュート！！決める！！）」
シュッ
武がシュートを放つ
ボールはきれいな放物線を描き
ザシュッ
きれいに決まる
武のブザービーターが決まり試合終了
８－１０
試合に負けてしまったが
武８得点、大友６得点
武、試合に負けて勝負に勝つ
