↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タマキシノビ絵巻  作者: 宅間晋作
シノビ修行編
8/23

十一歳と訪問者

「ソウルスキル。 努力真面目ーマジメー」


 タマキは、十一才になりソウルスキルである努力真面目ーマジメーを使いこなせるようになった。

 能力は演算能力による努力補正と技術補正が掛かる単純なものだ。

 演算補正はアセチルコリンと言う脳内物質がたくさん分泌されて最適な行動や発想相手の行動予測を手助けしてくれる物らしい。


「うわぁゆっくり」


 タマキはこの演算能力によるゆっくりとした時間感覚に慣れない。

 魔力の感知も鋭くなり果てにはどこに剣を振れば相手が死ぬかも分かる。

 子供が持つには危険過ぎるスキルだった。


「うっ!」


 使用限界の二分を過ぎて頭痛がして、鼻血が出た。

 演算や思考加速はとても危険なスキルであり、思考回路から肉体神経へ電気信号を加速させ複雑な動作を同時にすると死に至る事もある。 なのでとりあえずタマキは思考加速で見る世界に慣れるべくスキルを使いつつ空を飛ぶ鳥や木の上にいるリスや猫などを見て修行していた。

 しかしまだ、十一歳の体で扱うにはまだ相当な負荷が掛かる。 それほど思考加速のスキルは危険な力なのである。


「うわぁ。 えへへ」


 タマキは、スキルを使った直後に笑みを浮かべた。

 急に脳内物質が溢れるのでドーパミンやアドレナリンのせいで興奮し魔力がうまく練れなくなり、体が弛緩する。


「ちょっとタマキ! 大丈夫?」


 するとティルナがやってきてヒールをかけてくれた。

 おかげで少し脳が休まり、精神も魔力の出力も安定した。


「あ、うんごめんねティルナこのスキルを使うとテンションがおかしくなって」


 冷静になった頭で、タマキは謝罪した。

 脳の負担が強い分ソウルスキルの努力真面目ーマジメーは強力なのだ。

 鍛錬を積み、体にスキルの感覚を馴染ませる事でしかスキルは安定しないので何度もこの感覚に慣れるしかないのだ。


「うぅ気持ち悪いよ」


「しょうがないじゃない。 スミレ先生も思考加速は世界をスリィディで見ることと同じって言ってたじゃないの」


「そうだけど。 うぷ」


 三半規管や脳がうまく機能しない。

 膨大な情報量で、タマキは限界だった。

 タマキの日常はスキルを手に入れてから、使って吐いて眠るの繰り返しだ。 仕方ないが演算スキルを使うと言うのはこう言うことなのだとタマキは強く思う。


「ほら、部屋で休むわよ」


「うん。 ごめんね」


タマキは謝罪をしながら、ティルナに背負われて自室に戻った。


「ティルナ、ごめんね。 このスキル慣れなくて」


「……全くほら。 イーニさんから教わった錬金術で作った頭痛薬と集中薬よ。 後、何度も謝らないの!」


「うん。 ありがとう」


 タマキは、布団に横になりティルナから薬を貰う。

 ティルナのスキル冷静参謀ーチンチャクーは、物質の鑑定と演算。 そして精神耐性を得れるスキルである。

 そのおかげでティルナはあっという間に錬金術を嗜んでいたイーニから薬の作り方を教えて貰い、さらに最近はエールニからもエルフの回復薬を学んでいる途中らしい。 なので、ティルナは簡単な回復薬や頭痛薬など日常的な薬なら習得して一年で作れる程の腕前になっていた。


「おねぇちゃん!」


「マキ」


 すると、翠髪をした少女がやってきた。

 イーニの娘であるマキだった。


「お姉ちゃん大丈夫?」


「マキ。 お姉ちゃんの手握るね」


「ありがとう」


 マキが、タマキの手を握ると精神が安定するのを感じる。

 愛情を感じるのもそうだが、マキには精神を安定させるソウルスキルがあるのだろうとタマキは感じた。


「お姉ちゃん顔色良くなったね」


「マキが優しからね」


 タマキは、左手でマキの頭を撫でた。

 マキは笑い、体を抱きしめる。


「本当に仲良しね」


ティルナは、姉妹のそんなやりとりを見ながらリンゴを剥く。


「……私、もっと強くなるね」


 タマキは、ティルナとマキを見ながら笑う。 ある程度マシになったとはいえ、まだ視界が揺れて見える。 早くマシに見えるようになりたい。


「ようタマキちゃん。 元気? 見舞いでプリン持って来たぜ」


「ジュンタさん?」


 黒のジャッケトを着た、大人の男性ササキ・ジュンタの訪問にタマキは首を傾げた。


「ほら、遠慮なく食べな」


「あ、ありがとうございます」


「ジュンタお兄ちゃんありがとう!!」


「ありがとうございます。 ジュンタ様」


 タマキ、マキ、ティルナは三者三様に感謝を述べてプリンを食べ始めた。

 ナナシノ国の星宮亭の高級プリン一個五百ベルカする高級菓子だ。



「タマキちゃん一旦鍛錬やめて技術部門来ないか?」


「えっ?」


 ジュンタの発言に、タマキは戸惑った。



「……それはどう言う?」


「簡単な話。 タマキちゃんはさ魔力コントロールが曖昧なんだよ。 だからさ技術部門に来ればその繊細なコントロールがわかってついでに魔法も習得出来るし一石二鳥だろ? 後は情報が分からないと言うのは情報不足だからインプットとアウトプットが出来るようになればタマキちゃんはもっと強くなれるぜ?」


 そう言いながらジュンタはタマキに、指を指した。


「……そ、それって」


「あぁ今から二年間。 十三歳になるまで俺と一緒にお勉強だ。 明日から頼むぜタマキちゃん。 後、ティルナちゃんも来いよ?」


「分かりました。 ジュンタ様」


 すると、ティルナはジュンタに頭を下げた。


「……私もよろしくお願いします」


 タマキも不器用に頭を下げて、ジュンタの言葉を待った。


「そうか! よろしく頼むぜ!」


 そう言ってジュンタは手を振って部屋を出て行ってしまった。


「明日から頑張りましょうタマキ!」


「……そうね。 ティルナ」


「お姉ちゃん頑張って!」


 タマキは、急な修行提案に驚きながら眠りについた。


「んぅ。 もう朝?」


「そうよ! ほら起きなさいタマキ!」


「嫌だ。 後五分」


「全くもう!」


 タマキは、ティルナに体を揺さぶられると駄々をこねた。 脳機能が少し鈍くなっているので体内時計も狂っているのだ。

 なのでいつも早起きするタマキもこの時は、すばやく早起きする事が出来ない。


「今日ジュンタ様との約束でしょ? おーきーなーさーい!」


「んぅ分かった」


 タマキは、寝ぼけながら顔を洗い服を着替えて食堂へ向かった。


「おはようタマキちゃん!」


「えっ?」


 すると、朝食堂に行くとジュンタがおりタマキは驚いた。


「早いですね。 ジュンタさん」


「まぁな」


 ジャケットのポッケに手を入れながらジュンタは笑った。 どうやらそれだけ今日を楽しみにしてくれたらしい。


「ご飯を食べたら行こうぜ! 俺のラボへ」


「は、はい!」


 タマキは、朝ごはんのおにぎりと味噌汁を食べてティルナと共にジュンタのラボに向かった。








 









 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。