エピローグ 終戦
「さて。 そろそろ終わりねジュンタ」
「そうだね。 バルメア」
そう言いながら、バルメアとジュンタは戦艦に乗りバリエンツの街並みを見ていた。
光学迷彩で、地上から空を見上げても戦艦はわからない。
ただジュンタとバルメアのみが紫外線センサーと透明ズームカメラではっきり街並みや人相を識別出来るだけだ。
「じゃあ行ってくるわ」
バルメアは立ち上がり、ネイキッドドレスを靡かせて和傘を差しカタパルトの発射口へ歩いた。
「気をつけて」
「ありがとう。 少し筋トレしてくるわ」
バルメアはカタパルトに乗りそのまま射出され、地面に落下した。
落下による超加速。 吸血鬼の肉も相まってそれは砲撃と同等の威力になり、無法地帯の地面に着陸し、異界宗教国の騎士団を吹き飛ばした。
「あらあら軟弱ねー」
「だ、誰だ! 貴様!!」
バルメアが呟くと剣を抜いて騎士達が囲んだ。
「あら? 女の子相手に乱暴するなんてやぁね」
「……貴様ァ!!」
すると、騎士の一人が振りかぶるがバルメに首を掴まれて片手で首を折られて絶命した。
「貴様は。 私のセリフよ。 よくもバリエンツを侵攻してくれたわね? 『夜の貴婦人』としてそれは許せないわ」
「な、何を……え?」
気がつけば周りには首を折られた騎士が倒れていた。 囲み数では有利だった筈だ。
「……あっ。 えっ?」
「私のソウルスキル剛腕無双-ゴウワンムソウ-の敵ではないわね」
そう言いながらバルメアは閉じた和傘を広げて優雅に微笑んでいた。
「き、貴様まさか吸血鬼か? おのれ! 邪悪な眷属がぁぁぁ!!」
「邪悪はあなた達でしょう? 女の子や子供に優しくない国家なんて邪道そのものよ」
バルメアは騎士団長の首をツゥと引っ掻き、そのまま爪で頸動脈を掻き裂いた。
「うわぁ! うわぁぁぁぁ!!」
情けない声をあげて今回の侵攻を指揮していた指揮官は死亡した。
「……さよなら顔も知らぬあなた。 次は可愛い女の子になるか。 優しい人になって生まれてきなさい」
何も言わない死体に黙祷を捧げ、バルメアはジュンタの乗る戦艦の気配を感じながら死体だらけの戦場を歩いた。
こうして一万の軍勢は夜の貴婦人に世より壊滅したのだった。
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「さて。 メイベルあなた達の目的を教えて」
「……いきなりねぇ」
メイベルは手枷をガチャガチャ言わせながらため息を吐く。
「あなた達の侵攻を私は見過ごす訳にはいきません。 一人の国民として守る義務があるからです」
「あらあら頭でっかちですこと」
タマキの言い分にメイベルはくすくす笑いながら揶揄う。 そんな態度にタマキはむすっとしながらも、目を逸さなかった。
「私達の侵攻を指揮したのは教皇様よ。 私達はその手足に過ぎないわ」
「……そうなのね」
タマキは頷ずき、メモを取る。
「それでこれからどうする訳? 私を処刑でもするつもり?」
「そんなことはしないわ。 あなたは、これからこの街の捕虜になって貰うわ。 ここで暮らしてバリエンツの戦力を担って貰うの」
「……他の子も?」
「そうだよ」
「ふふ。 屈辱ね」
メイベルは、そう言いながらも笑み浮かべて浮かれてるようにタマキには見えた。
こうして異界宗教の侵攻は防がれて平和に七年が経過した。
七年後が経過してタマキは、街並みを歩いていた。
「平和ねティルナ」
「そうだね。 タマキ」
団子を口に咥えながら食べ歩くするとスマホにメールが届いていた。
『至急ファギール帝国に潜入せよ』
「……これは?」
タマキはスマホを操作し、すぐさまに消した。
そして身支度を整えてティルナと共にバリエンツを出た。
別れの言葉はない。 シノビとはそういうものだから。 二十歳になったタマキはそう思いつつ歩く。
この任務は大きな仕事になるとそう直感しながら。




