第25話 6月10日 水曜日①
週の真ん中水曜日。
僕は昼休みに職員室を訪れた。
今日、職員室にくるのは二回目で水木先生にある用紙を手渡す。
「先生。これ書いてきました」
「うん。よし。いいよ」
水木先生はその紙に目を通すと職員室のうしろの壁にあるカラフルなプレートがついた鍵がかけられているところまで歩いていった。
その中から銭湯のロッカーキーのようなプレートのついた鍵を持ってきた。
緑色のプレートには【コンピュータ室】と彫られている。
「西川。おまえ情報処理の成績、学年でトップスリーだろ?」
「はい。それがなにか?」
「好きこそ物の上手なれだ!」
「え、あ、はい」
うちの高校の【コンピュータ室】は昼休みや放課後なら使用届けさえ提出せば自由に使うことができる。
自由といっても学校側であるていどのフィルタリングはしていて大手匿名掲示板や会員登録をしないと使えないサイトはブロックされていた。
僕が調べたいものは検索エンジンで調べられるような簡単なものだからフィルターに引っかかることはないだろう。
【コンピュータ室】に入ってまずどこに座るかを考える。
廊下側だと急に誰かが入ってきそうで落ち着かない。
だから窓側のいちばん前の席を選ぶ。
ただみんなスマホを持っていて授業以外で【コンピュータ室】を使う人はすくないから誰もこないだろうけど、念のため。
パソコンの電源を入れると今の「Windows」じゃなくてひとつ前のバージョンの「Windows」が起動した。
多くの人は今、無線LANの規格のひとつであるWi-Fiでインターネットを使っている。
元々はLANケーブルを使った有線LANが主流だった。
この【コンピュータ室】も校舎を通っている光ケーブルとONUとルーターがLANケーブルで繋ながっていてインターネットができる。
結局のところ世界中でインターネットができるのは電話回線のおかげ。
最近は衛星を使ってネットをする方法も確立されてきてるから、いずれは衛星経由でのネット通信が一般的になるかもしれない。
黒い画面に「Windows」のロゴが現れてからしばらくするとパソコンが使えようようになった。
このパソコンには誰が入れたのかわかないけど「Chrome」と「FireFox」のブラウザが入っている。
現在「Windows」のデフォルトブラウザは「Edge」のはずだ。
学校のパソコンはセキュリティが強固のか甘いのかわからないな。
こんなに自由にソフトやアプリをインストールできるなら学校のパソコンになにを入れられても文句はいえない気がする。
それこそウィルスやスパイウェアを仕込まれても誰も気づかないかもしれない。
できるなら「Brave」や「Opera」「Vivaldi」なんかのブラウザをインストールしたいところだけどそのなかでも使い慣れている「Chrome」をダブルクリックした。
画面一杯に広がった「Chrome」は初期設定のままだ。





