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★46 旅立ち
僕は許して貰えたのだろうか。
それは結局の所わからない。
でも、彼女は優しく微笑んで共に歩む事を許してくれた。
囁く様にではあるが「ありがとう」と言ってくれた。
それならば、僕はそんな彼女に報いる為、誠心誠意付き従い支えるまでだ。
以前の様な関係には、二度と戻れないかもしれない。だけど、首の皮一枚で彼女との関係は繋がった。
もしかしたら、以前の様な関係にだって戻れるかもしれない。
その可能性が有るだけで十分なのだ。
それだけで、それだけで救われる。
今度こそ、僕は彼女を一人にはしない。
今度こそ、彼女の隣で彼女と同じ景色を見て、彼女の支えとなる……
「ドッグ、どうしたんだ。早く行くぞー?」
彼女が僕に語りかけてくれる。
「すまない、少し考え事をしていた」
「頼むぜー、ボケッとしてるのは、俺の仕事なんだからよー」
まったく、彼女は何を言ってるんだか。
だけど、それでいい。
彼女に出来ない事を僕がやり、彼女を支えるんだ。




