前半のあらすじ (第一章~第六章)
形ある奇跡と恩寵が示されなくなって久しい世界で、教団をもり立てる東の諸公と、教えを捨てて久しい西の大国コトレールとの間に緊張が高まりつつあった頃の話。
15年前の霰の四分聖節の夜、赤子だったシャーデはミルトルの聖堂教院に置き去りにされていた。
巫女を目指して泉の谷で学ぶ中、サダリら心を分かち合える友人も出来、穏やかな時間を過ごしていた。
そして、3年の修行を終える時、巫女となる5人の一人に選ばれ、大祭で綬鎖を受け新たな泉の巫女となった。いろいろな悩みや迷いにぶつかりながら修行を続けるシャーデ。
(以上、第一章、第二章)
教団からコトレールへ表敬に使節の一員となったシャーデ。
生まれてはじめて教団の外へ出た彼女は、人々の苦しい暮らしを目の当たりにする。
さらに西への船に乗り、旅を続ける一行。
身分を隠した乗船だったが、サーではふとしたことで巫女であることが知られ、食べ物の毒にあたった子供の救いを乞われるが、子供を前に苦痛を和らげることすらできない。
幸い、同行の薬師が、巫女のために用意された貴重な薬を使い、子供は回復する。
シャーデは、そのことを喜びながら、自らの無力さを噛みしめるのだった。
(以上、第三章)
船はコトレールへの玄関となるラグナに着き、巡礼地である西方聖遺教堂を訪れたあと、王都への護衛の責任者、近衛左弁官クレイズと知り合う。
道中に目にしたコトレールの民は飢えることなく穏やかな暮らしぶりだった。
教えのあるなしにかかわらず、良き人は良き行いを為す。シャーデの胸中に新たな思いが芽生え始める。
王都では、使節を歓迎する祝宴が催される。
その席で失敗をしたシャーデは、飲み物で心を紛らわすうち、誤って強い酒を飲み倒れてしまう。
(以上、第四章)
倒れたシャーデを見舞うクレイズ。
シャーデが倒れた原因を、王にとがめられその日の役目を外されたのだという。
お互い、気まずさを抱えつつ、言葉を交わすうち次第に距離を詰めてゆく二人。
クレイズは、シャーデを知人の工房へと誘う。
使節の行事として案内された鋼鉄と蒸気を使ったからくりは、強い力を持つものだった。そして使節への儀礼として、盛大な観兵式が催される。
シャーデ達は演武が見せる高い練度、優れた装備に圧倒される。
(以上、第五章)
コトレールを離れる前日、シャーデはクレイズに誘われ、二人だけの外出を楽しむ。
その晩、教団からの密使が現れ、明日の帰国の謁見時に王を暗殺するよう命じられる。
巫女達は反対するが、教えなきものの王を除くことが、将来、教えあるもの守ることなると祭主は譲らない。
(以上、第六章)




