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28枚目

「イレギュラー・レッド、あなたを逮捕しに来ました。その少年から離れて! さもないと撃つわよ!」


「あー、はいはい。うるさいですね、分かりましたよ」


 俺の目の前にはイレギュラー・レッド、なぜか警察官姿のアクター、そしてその部下と思われる人たちがいる。


「今(・)回(・)は(・)捕まってあげますよ、芥(あくた)さん」


 イレギュラー・レッドは両手を挙げ、含みのある言い方をして笑った。


 アクターの「捕まえなさい」という声で、部下の男がイレギュラー・レッドに手錠をかけて逮捕した時刻や容疑を言う。テレビで見た光景と同じだった。


「ほら、さっさと歩け!」


「はーい」


 イレギュラー・レッドが連行された時、彼女は俺の方を振り向いてささやく。


「貴方と過ごした時間、とっても楽しかったですよ」


 とんでもない人物に目をつけられてしまったと、心の底から思う。俺の女性運はないに等しいものだろう。


「二度とオレの家族に手ぇ出すんじゃねぇぞ」


 玄関辺りを見るとヴィネットがバイクに乗ったまま、連行されているイレギュラー・レッドに話しかけていた。いつもの雰囲気とは全く違う彼に物怖じせず、イレギュラー・レッドはヴィネットに挑発する。


「おや、貴方……。過去の自分とはおさらばしたんですね」


「うるせぇな。お前をお縄につかせるのはもう散々だ」


 レッドはヴィネットの言葉に興味をなくし、「そうですか」と一言だけ言いパトカーに乗せられていった。


 後日、シャルムの婆さんの葬儀が執り行われた。俺の今まで生きてきた中で一番泣いた日だったかもしれない。


 さらに翌日。俺はヴィネットとアクターの養子になり、彼らは幼なじみから夫婦になって幸せな新婚生活を送った。結婚式は挙げなかった。


 俺たちを渦巻くものも変わっていき、少しずつ平穏が訪れていく。この日々にまだ慣れないのは、ずいぶん贅沢な悩みだった。

次の話で完結になります! 2019.10.11

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