26枚目
「すっかりいい男になったねぇ、あんた」
「そうでもないよ、婆ちゃん」
シャルムに引き取られてから、もう半年も経った。俺はすっかりお婆ちゃんっ子になり、口の悪さもかなりマシになった。
イメチェンするための散髪をしてもらい、暗い印象とは真逆の爽やかな雰囲気になる。シャルムは元美容師だったらしく、老人にそぐわない手際のよさで俺の髪を整えてくれた。
俺がここまで清らかな人間になれたのはシャルムのおかげだ。彼女のありがたさが心に染みる。
「今日は久しぶりに故郷へ戻るんだろう? 騒動も落ち着いたことだし、誰もあんたのことなんか気にしちゃいないよ」
「……うん。ありがとう」
表面上ではシャルムに微笑んだが、心の中では大声を挙げて泣いていた。一生の別れではないが、愛を知った今では泣くのをこらえるのに精一杯だ。
「貴方が愛を知るなんて、そんなことは許しませんよ」
「え?」
「やっと会えましたねアイライトくん。ボクのこと、忘れてはいませんよね?」
突然、背後から声が聞こえた。
振り向くと、ギャラハットの姿をしている何かが口を開いて話している。いったい何なんだ。頭が追いつかない。何が起きて、どうなっている?
「何も分からない、怖くてたまらないという顔をしていますね。いいですね、ボクは君たち人間のそういう顔が大好きなんですよ!」
「……ギャラハット、なのか?」
「いいえ、違います」
ギャラハットの化けの皮が外れ、何かの正体が明らかになる。俺の目に映ったそれは、赤いレインコートに身を包んだ黒髪で真っ赤な目をした女だった。




