22/29
22枚目
今回はちょっと短めです 2019.8.30
ヴィネットと話し合い、俺はヴィネットの祖母の家に行くことになった。人がほとんどいない遠い田舎に住んでいて、派手なネオン街から隠れるように過ごしているらしい。
「それじゃあアイちゃん、元気でね」
ヴィネットが抱き寄せていた腕を放す。彼のぬくもりはとても暖かく、優しいものだ。実を言うと、俺はもう少しだけヴィネットに抱きしめられたかった。もちろん変な意味ではなく、家族の愛情に触れていたかった。
「……うん。ヴィネット、アクター、本当にありがとう。短い時間だったけど、出会えてよかった」
微笑み、思わず涙が出そうになる。俺は泣くのをこらえ、せめて別れの時は彼らに泣き顔なんて見せたくなかったからだ。
そんな時だった。かなり近くでパトカーが通り過ぎていく。状況を察したのか、ヴィネットは逃げるようにと俺の背中を軽く押す。
「さぁさぁ、早く逃げないとサツがこっちを嗅ぎ回ってくるわよ。裏から逃げなさい、そっちの方が安全よ」
次の話からは、ほのぼのを予定しています!