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声を拾って  作者:
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4.

「ふぅ……」

私は、青年の肩に頭を寄せながら、ため息をつきました。

相変わらず、青年は私に気づくこともなく、静かに透明な音をキャンバスから響かせています。

私にはその音はうっとりするほど心地よく、長めの水色の髪を耳にかけると青年の肩越しに音を聴きながら、昨日、枝垂れ藤の精霊の男の子と話した内容を思い出していました。


ぱたぱたぱたという軽いスリッパの音がしたかと思うと、部屋のドアが開け放たれ、昨夜目にした小柄な女性が、駆け込んできます。


青年は、昨夜のことを気にしていたのか少し目を向けるとおはようと言われた言葉にうなずき返しました。


今日は外が雨なので窓は締め切られていて、枝垂れ藤の精霊ともお話は出来ません。

少し残念に思っていると、小柄な女性が私に向かって……ではなく青年にぎこちない笑みを向けました。


朝ごはんは、彼女お手製のサンドイッチのようです。昨夜も思いましたが、随分おいしそうなサンドイッチです。具沢山ですし。アボガドやトマトやスライスチーズやカリカリベーコンにトロトロ卵。昨夜放ってきたのと同じパックのこれは牛乳ですね。を、今度は投げつけずに青年に渡しました。昨夜のことを少し気にしているみたいです。気恥ずかしそうに口をとがらせて、でも不安そうにこちらを見ています。


唐突に彼女が口を開きました。

「唯、さんのことは……お兄のせいじゃないから、気にしないでいいって私、思う」

涙を浮かべて、彼女が一生懸命青年に何かを伝えようとしていることがはた目からもわかります。

私は、じっと肩口から青年の沈み込んだ表情を眺めました。くちはしが少しゆがんでいます。きっと、そうではないと彼自身は思ってしまっているのでしょう。私は少し項垂れました。彼がひどく可哀そうになってしまいます。


青年はつらそうに言葉を選びながら口を開きました。思いもよらない心地よい声に私は目を見開きます。


「優美、そう言ってくれるのはお前だけだし、お前が俺をかばおうとしてくれる気持ちが俺は嬉しい。でも、唯のことは……あれは、俺のせいなんだ」


泣きそうな顔をして小柄な女性……青年の妹の優美さんは下を向いてしまいました。

ぽんぽんと優美さんの頭に軽く手を置くと、青年は、無理やりに笑います。


「俺は大丈夫だから、お前はあんまり気に病まないでくれ。うまそうなサンドイッチありがとな」


こくんとうなづくと優美さんは、ちらっと青年のキャンバスを見た後、部屋を出ていきました。昨夜と違い、今日はセーラー服だった彼女は、そのまま学校に行くようです。


私は、まだ唯さんという方がどうしてこんなにお二人の間に影を落としているのかわからずにもやもやしながらも優美さんを見送りました。

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