表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

14.Actually feeling

 必死の思いでマンションに戻って、扉に鍵をかけたあたしは、玄関の床にへたり込んだ。

 とっくの昔に慣れたと思っていた死臭が、体中にまとわりついて、あたしをどこか深い闇の中へ引きずり込もうとしているような気さえした。


 あたしは。

 何を勘違いしてたんだろう。

 ここは、夢の中の世界じゃない。


 勝手に泣き出した自分を、どこか遠い場所から眺めているような感覚で思う。


 ここはどこだろう。

 なんだって、あたしはここにいるんだろう。

 何をすればいいんだろう。

 どうすれば、助かるんだろう。

 そもそも、助かるってなんだろう。

 あたしは、何がしたいんだろ・・・


 堂々巡りの思考の中に、何度も何度もあの肉片が浮かぶ。

 どうみてもあれは、人間の・・・・・・

 頭を強く横に振ってみても、体の感覚は戻って来やしなかった。

 あんなふうにはなりたくない、と思う。

 あんなふうに、なっていてもおかしくなかったんだ、と思う。

 どれだけの幸運と奇跡が、あたしにここで息をさせているんだろうか。


 がちがち、と耳障りな音があたりにこだまして、あたしは歯の根が合わないほど震えている自分を知る。タチの悪い風邪をひいた時よりよっぽど酷い悪寒が血管の中を駆け巡っているような気持ち悪さに崩れ落ちたままの膝を抱えて、何とか壁に寄りかかる。

 フローリングの床も、薄い壁紙が張られただけの壁も、硬くて冷たくて、どこまでも突き放されているような気がした。



 いつまでそうしてたのか、よく分からなかった。

 いつまでもそうしているわけにはいかないことは分かっていたから、軋む体をなんとか起こす。その足で、よろよろと部屋の中に戻ったあたしは、体に触れた布団の手触りにただただ息をついた。


「寝よ……か」

 

 何も考えたくなくて、着替えもしないまま布団の中にもぐりこむ。

 冷えきった肌に、毛布の柔らかさが心地よかった。

 最近盗んできた、もふもふなぬいぐるみを抱えて、深く息をついてまどろみに落ちる。

 その瞬間。

 ガラスのない窓から、鉄琴を叩いた時のような音が断続的に響いた。

 反射的に飛び上がりかけた体を、ぬいぐるみを抱く手に力を込めることでやりすごす。

 飛び出しかけた悲鳴を必死で押し殺して、恐る恐る窓のほうを見つめた。


 雨が、降り出していた。

  

はじめまして。もしくは、お久しぶりです。

この物語を読もうと思って読んでくださったあなた、

たまたま行き会って読んでくださったあなた、もう二度と読まないぞと思われたあなた。

 あなたがそこに居てくださることが嬉しいです。

 この物語を読んでくださってありがとうございます。


この続きは現在鋭意執筆中です。

ご感想・ご批評、誤字・脱字のご指摘などいただけると嬉しいです。

(明日への活力になります)

どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ