82
今夜もリアはリアルとの語らいの場に足を運んだ。リアは長椅子の席に着くと、小さく言った。
「リンの嫉妬は可愛いです」
リアルは、リアの惚気に何かと思った。リアは温かなココアのコップを両手で包み、湯気を眺めた。
「僕とリアルがリンに秘密を作ると、リンは嫉妬をするそうです」
リアルはああ、と納得した。
「帽子屋はずるいのよね。自分は好きな人を一人に絞らないのに、相手には束縛心を隠さないのだから。まぁ、そこが可愛いんだけど」
リアは熱を込めた声で肯定した。
「そうですね」
リアは自然と自分の気持ちを共感できる相手に、少し心を解いていた。リアルはリアを見守るように尋ねた。
「帽子屋は料理を作ってくれるの?」
リアは機嫌よく答えた。
「はい。朝食と夕食を作ってくれます。たまに僕も一緒に手伝います。だいたいお昼ご飯は僕が作っています」
「そう。魚料理、なのよね?」
「そうですね」
リアルの差し障りのない問いに、リアは丁寧に答えた。
「帽子屋が朝ご飯を作ってくれるのって、癒やされるのよね」
「そうですね」
リアはリンがリアルにも同じように尽くしていることを知り独占欲が少し刺激されたが、幸せを話せる仲間ができたことの方が心を占めた。リアルはリアの心の変化を拾った。
「リンの癒しは魔力よね」
リアはにこりと笑った。リアはココアを飲み干すと、「僕は戻ります」と言って、居間を去った。




