16
「リアル、いいですよ」
居間の長椅子に座ったリンは、虚空に話しかけた。後ろの暖炉の隣のドアが開き、リアルが中に入ってきた。
「リンに伴侶ができると、久しぶりに会った気がするわね」
「リアルが妬くのですか」
リンは笑った。
「私は鉄の女じゃないわ」
リアルは軽口を言い返した。リンは手元にコーヒーを現し、リアルの前にコーヒーのカップが浮かんだ。
「リアは忙しい人です。今は故郷に帰って私との結婚式の招待状を来賓に渡しに行きました。しばらく時間がかかるでしょう」
リアルは長椅子に座るリンの正面の椅子に座り、コーヒーをすすった。慣れた家の味がした。
「私はリンが好きな人と会う邪魔はしないわ。知っているでしょ?」
「そうですね」
リンの短い返事は温かかった。リンはリアルがリンの行動を手伝いながら、距離を保っていることを思った。しかしリアルの言葉には、強調しなければやり切れない強がりが含まれていることに気付いていた。
「私たちは似ているでしょ。一人の時間がないとダメな所とか、世界を放浪したくなる所とかね。これからもお互いの自由は尊重するわ」
「しかし、リアルは伴侶です。リアが伴侶となっても変わらないことです」
リンはコーヒーを味わった。
「今日は私が料理しますか? それともリアルが作りますか?」
「そうね、リンの料理が食べたいわね」
リアルは素直に所望した。リンは眼を細めて笑った。
「それでは、明日はリアルが食事を作って下さい。私もリアルの料理を食べたいです」
「私の台所で腕を鳴らすわ」
リアルは心の雲が風に流れた。




