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リアはスターチス王とデンファーレ王のチェスに参加した後、故郷へ帰った。その後、友人の魔術師リン・アーデンの住み家へ訪った。友人の住み家はチェスの間に招かれたが、一日しか居られず、込み入った話はできなかった。リアは城を訪ねると、リンは訪問を待っていたように出迎えた。リアは長く西大陸を見てきた城の主に、来年のチェスの話などをした。
夜になり、リアは台所を借り、故郷からのお土産に持ち寄せたじゃがいもとソーセージと野菜で、ベイクドポテトと、カレー粉で炒めたソーセージなどの料理を作った。
夕食の後はリアはリンと住み家の聖杯城について話を始めた。
「この城は聖杯の力で保たれているのですよね?」
リアは温かなココアの杯を傾けながら、城の主に尋ねた。リンは透き通ったお茶を飲みながら答えた。
「聖杯城は、リアルの魔力で管理されています。聖杯城の魔力を安定させるためには、二千年の月日が必要でした。その間、客を呼ぶことはできなかったのです」
「リン、聖杯城の魔力を安定させるのは、僕ではだめだったのですか?」
リアは魔術師を見た。若者のような、熱のある視線で。リンは首を振った。
「リア、ありがとう。私の世話でリアの仕事を諦めさせることはできません」
リアは友人の言葉は温かく、緩やかな熱を帯びていることを感じた。思いやりの深さが在った。リアは心を打ち明けた。
「僕は司書を辞めることになっても大丈夫でした。リンと一緒にいたかったです」
魔術師は寂しそうに微笑した。
「お師匠は私の大事な人です。会えない時があっても変わりません。これからは、いつでも訪ねて下さい。私が生きている間は、我慢して寂しい思いをしないで下さい」
リアは嬉しさと寂しさが一度に来た。それを正直に言葉で返した。
「リンには隣に一緒にいる人がいます。僕は欲を出したくなります。その想いを持ったままにしていてもいいのですか、リン?」
リンは微笑んだ。
「私は恋愛感情を大切にするのが一人の人だけではないのは変わらないのです。リアがそれを知って仲を続けて下さっていたでしょう。私はリアの心を大切に想っています」
魔術師の言葉は温かく、リアは多くを求めなくても魔術師が隣にいるだけで幸福感に満ちることを覚えた。これからも寂しさが心に積もることがあるだろうが、魔術師の約束はリアの心を輝かせ、それで良いと思った。リアは颯爽と言った。
「僕はリンの隣が好きです。リンが大切にしてくれるこの距離感を、僕も大切にしたいと思います」
旅人と魔術師は目を合わせ、互いの心を胸に丁重にもてなしあった。




