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プロローグ
走れ。走れと身体が叫ぶ。そこのけそこのけ、私が通る。揺らいだ心と身体が合わさって、どうにも足がもつれそう。走れ、いや、踊れ。いやさや、走れ。走って、あぁ、この身を燃やせ!
ライト。四角。口をあんぐりと開けた運転手。
ぱっ、と光が目を覆った。
来るのは衝撃で、魂すらも落として、どうにか意識を保とうとしても、どうにもならず、だけども暗闇の中に溶けるということもなく、視界の果てに光の粒を見た。薄い膜のような、蛍光が如く柔らかで、きっとそれは生命の天輪と云えるものに違いない。
目を開けると、そこは知らぬ景色だった。どうにも色が薄く、自分の両の手すらも見えぬ。まるで夕靄の中である。痛みはない。だけども、耳を劈く悲鳴が聞こえる。五月蝿い。煩くて堪らない。夏の蝉の方がまだ優しい。ーーーいや、これは自分の声だ。
私の声だ。
産声だ。
どうやら、輪廻転生は叶ったらしい。




