世界に浸かる色と花びら
同じものを見ていても、その人の瞳にはきっともっと美しいものが見えているのだろう、
そう、感じてしまうことがあります。
……それは、様々な瞬間ごとに私の中におきる変化にも似ていますが、
それを魅せられた時、私は、ぐらりと揺れるなにかを見るのです。
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たとえば、一瞬を切り取った写真に
たとえば、一瞬を閉じ込めた画の美しい色彩の中に
たとえば、一瞬を閉じ込めたその方のお言葉の中に
その方が見ているものは、きっと私などよりもずっと、きっととても、美しいものだと
そう、思えて
それらは、ずっと見ていられるのに、見ていられない気持ちにさせる
それは、嫉妬にも羨望にも、そして悔しさにも似ていて
私は、その度にあがきたくなる
それに追いつきたくて
なにに、か、は、自分自身でもはっきりとしない
わからない、追い立てられるかのような気持ち
湧き上がるなにかを
私と同じものを目にしても、きっとその方の目にはもっとずっと色鮮やかに、美しく、綺麗に色とりどりのそれ、が見えているのだろう
それが、とても、貴重で、ずっと見ていたくもあり、悔しくもあり、見ていられなくもなる
色水に花びらを浸し、その行方を眺めている
たとえるならそんな気持ちだろうか
触れない領域のそれ、は、
いつまでたっても、私のずっと先の違う空間に密やかにあるようにしか思えなくて
きっと、そういったものを見せつけられる度に
きっと、どうしたって、それが、原点なんだろう
そう、思います