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【痛みの帝王】 〜65歳で全ての激痛を経験した男、異世界で“痛みを操る”チートを得て成り上がる〜  作者: ボルトコボルト


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第17話 薄汚れた店と聖獣使い──老婆の腰痛と竜騎士の装備

 蒼鱗亭で一泊した翌朝。

 ドロルと窮奇は、迷宮都市ならではの豪華な朝食をゆっくり味わった。

 地底湖の白身魚のムニエル、魔力草のスープ、迷宮茸のオムレツ──どれも驚くほど旨く、身体の奥まで温まる。


「……こんな朝食、初めてだな」

 ドロルは思わず頬を緩めた。


 窮奇は大きな肉を噛みながら、満足そうに低く唸った。

「主殿、ここは良い宿だ。儂も気に入った」


「俺もだよ。ゆっくり眠れたし、食事も最高だ」


 食事を終えた二人は、ローラから紹介された道具屋へ向かった。


 しかし──宿の豪華さとは正反対の光景が広がっていた。


 迷宮都市の裏通り。

 石畳は欠け、壁は黒ずみ、通りには古い木箱が積まれている。

 その一角に、紹介状に記された店があった。


「……ここ、だよな?」

 ドロルは看板を見上げた。文字はかすれ、扉は軋み、窓には埃が積もっている。


 窮奇は鼻を鳴らし、眉間に皺を寄せた。

「主殿……薄汚いぞ。儂の爪より汚れている」


「言うなよ……ローラさんの紹介なんだし、きっと理由があるんだろう」


 恐る恐る扉を開けると、店内はさらに薄暗く、棚には古びた道具が雑然と並んでいた。


 そして──奥の椅子に、不気味な老婆が座っていた。


 背中は丸まり、白髪はぼさぼさ。

 しかし、目だけは鋭く、こちらをじっと見つめている。


「……なんじゃい。客かい」

 しゃがれた声が、湿ったような響きを伴って店内に広がった。


 ドロルは紹介状を差し出し、丁寧に頭を下げた。

「冒険者ギルドのローラさんから紹介されました。マジックバッグを探していて……」


 老婆は紹介状を受け取ると、目を細めて読み始めた。

「ふん……ローラの紹介か。なら、悪いようにはせんよ」


 そう言いながら立ち上がろうとしたが──


「……っ、い、痛たた……腰が……」

 老婆は腰を押さえ、苦しそうに顔を歪めた。


 ドロルはすぐに駆け寄った。

「大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃないよ……この腰痛は長年の持病でね……。

 マジックバッグを取りに行くのも一苦労なんじゃ……」


 ドロルは少し考え、静かに言った。

「根本原因は治せませんが……痛みだけなら、軽くできます」


 老婆は驚いたように目を見開いた。

「……そんなこと、できるのかい?」


「少しだけ、スキルで」


 ドロルは老婆の腰に手を当て、ペインのスキルを発動した。

 淡い光が広がり、老婆の身体がわずかに震える。


「……あ、あれ……? 痛くない……! 本当に痛くないよ!」

 老婆は腰を曲げ伸ばししながら、涙を浮かべて喜んだ。


「なんてこった……こんなに楽なのは何十年ぶりだよ……!」


 窮奇は低く唸り、満足そうに言った。

「主殿の力だ。感謝するがよい」


 老婆はドロルの手を握りしめ、震える声で言った。

「……あんた、恩人だよ。マジックバッグ、格安で売るよ。ローラの紹介より安くするよ!」


 奥から持ってきたマジックバッグは、見た目こそ地味だが、容量は大きく、魔力の消費も少ない上物だった。


「本当にいいんですか?」

 ドロルが尋ねると、老婆は鼻を鳴らした。


「いいんだよ! あんたのおかげで腰が軽いんだ! こんな嬉しいことはないよ!」


 老婆はさらに棚を漁り、別の箱を持ってきた。


「それと……風を防ぐゴーグルと防風衣が欲しいんだろ?

 竜騎士が使ってたやつがあるよ。デザインも洗練されてて、性能も抜群だよ」


 箱を開けると、黒い革と金属で作られた美しいゴーグルが現れた。

 窮奇は目を細め、低く唸った。


「……悪くない。儂の飛行にも耐えられそうだ」


「これも格安で売るよ! 恩人だからね!」


 さらに老婆は服と靴を取り出し、魔法付与を始めた。


「防風の魔法はどの防具にも付けられるよ。

 この最高級の服に付けてあげる。

 靴には衝撃吸収の魔法を付けておくよ。落下のリスクも減るからね」


 魔法付与の光が部屋を照らし、窮奇は満足そうに鼻を鳴らした。


「主殿、これで飛行が楽になるぞ」


「本当に助かるよ……」


 老婆は最後に、鞍と鐙の職人の紹介状を書いてくれた。


「鞍と鐙は扱ってないけど、腕の良い職人を紹介するよ。

 ローラの紹介した職人と同じだね。

 あの職人は都市から離れた村にいるんだ」


 紹介状を受け取ったドロルは深く頭を下げた。


「本当に、ありがとうございました」


 老婆は手を振りながら笑った。

「礼なんていらないよ。腰痛を消してくれた恩人なんだからね!」


 こうして、ドロルと窮奇は道具屋で必要な装備を整え、

 次は革職人の村へ向かうことになる。

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