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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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第40話 ハーレムの中のハーレム主人公になってしまった件

「注目されてるね」


 王都の中央。

 多くの国民の目に晒されていることに気づき、ロードキングが言う。


 その口調はどこか軽く、楽しそうですらあった。


「ロードキングさん」


「ん? どったの?」


 急に真剣な顔つきになり、体をロードキングの方へ向けるレブル。


自惚(うぬぼ)れるとか、自分の能力を過信するとか――なるべくそういうことがないように生きてきたんですけど……正直に言うと、僕って自分が思っている以上に強いと思うんだよね」


 突然のカミングアウトに、ロードキングは大笑いした。


 ここで言うか、と。


 しっかりと自分の高すぎる実力を把握できたことはいいが、このタイミングでそれを認めるとは。


 ――相変わらずレブルは面白いねぇ。


 魔王として、自分より強い存在に出会うことなど滅多にない。

 だが、ロードキングはレブルがその『自分より強い存在』なのではないかと期待していた。


 自分より強いから妬むわけでも、排除しようと罠にかけるわけでもない。


 純粋に退屈していたのだ。

 自分だけが強いという環境に。成長のない環境に。


 マグナに連れられ、魔界に来たのはまったく動揺していない少年がやってきたあの時。


 ロードキングは何かを感じた。レブルの強さではなく、生物(・・)としての興味深さ――それがロードキングを刺激し、魔王軍に引き入れるまでに至ったのだ。


「やっと気づいたかぁ。みんなそれを気づかせようとしてたんだけど、なかなか気づいてくれなかったよね。そういうとこだけ鈍感なのってズルいよ」


「僕は鈍感じゃないよ」


「それじゃあ、あそこの女の子3人を見てみて」


 ロードキングが視線を送ったのは、少し離れた距離から戦いを見守っている、アイシス、シルフィ、オッティの3人の美少女だ。


 彼女たちの瞳の中に、レブルを心配するような陰りは一切ない。

 そこにあるのは、圧倒的信頼――そして、『愛』だ。


 ロードキングは3人のことをよく知らなかったが、彼女たちがレブルに送る熱い視線で全てを察した。


「鈍感じゃないっていうなら、あの3人がレブルに恋愛感情を抱いてるってことくらいわかるよね?」


「それはもちろんわかってるよ」


「え、あ、わかってるの?」


「仕草を見ていれば、相手が自分のことをどう思っているかが手に取るようにわかるんだ」


「じゃあ、俺っちが今、レブルのことをどう思ってるか当ててみて」


「思ったより鈍感じゃないなって思ってるよね」


「残念! いや、それも正解かもしれないけど……正解は――この女たらし!」


 レブルとロードキング。

 ふたりの会話が盛り上がる。


「おいお前ら! いつまでしゃべってんだ!」


「あ、ごめん。つい盛り上がって」


「ロードキング、お前だけは絶対に許さんからな!」


「大丈夫だよ。君の命は今日で終わりだし」


 そう言って、エレクトラの背後に回るロードキング。


 油断していたエレクトラは、すっかり窮地に陥ってしまった。


 反応できないうちに背中に一発。

 渾身の右ストレートを打ち込む。


 しかし相変わらず体が頑丈なので、そこまで大きなダメージにはなっていない様子だ。


「レブルはその剣を使って攻撃したら?」


「それもそうだね」


 実はレブル、自分がフィリシンソードを持っていることをすっかり失念していた。


 滑らかに剣を鞘から抜き、構えを取ることもなくいきなり攻撃に移る。


 相手の反応速度を遅らせるためのフェイントのようなものだ。

 ベルタとの長い訓練生活の中で身につけた、強敵との戦い方である。


 エレクトラは無駄のないその動きに完全に騙されてしまった。


 剣を構えてから攻撃に移行するのは基本。


 それなのに、レブルは剣を抜いた瞬間に敵の方に剣を振るっている。


 自分の得物である大剣で防ぐことはできたが、力の差によって大剣が粉々に粉砕した。


 武器を失ったエレクトラ。

 前も後ろも、敵である少年ふたりに挟まれている。


 ――これ、終わった……。


 魔王エレクトラの最期は潔かった。


 ヴァンパイアの魔王に心臓をむしり取られ、伝説の剣を持った少年にその心臓を切り刻まれる。


 心臓をなくした魔王(エレクトラ)の体は徐々に塵となり、風と共に散っていった。


「あっけない終わり方だったね。俺っちたちの連携プレイは上手くいったみたいだけど」


「それは完璧だったね」


 魔王エレクトラは消えた。再び王都ビクトリアに平穏が訪れる。


 僅かな混沌の時を終わらせたのは、学術学園の優等生である少年と、魔王であるロードキングだった。




 ビクトリア学術学園。

 授業の終わりを告げる鐘の音が鳴り響く。


 レブルが学園の校舎を出ると、そこには大勢の見物人が集まっていた。


 先日のレブルの活躍で、すっかり彼に心酔してしまったファンの集団である。


 魔王エレクトラとの戦いの後、レブルと魔王ロードキングは、魔王エレクトラ討伐の功績を表彰された。


 あれだけの活躍をしたのだ。

 ベルタの熱弁もあり、ロードキングや彼の領地の魔族は自由に王都に出入りできるようになった。


 少年の姿をしたヴァンパイア。

 無論、ファンが誕生しないはずがない。


 しかし、ロードキング以上に、レブルの人気が凄まじかった。


 学術学園の優等生でありながら、剣術の腕前は王国トップクラス、魔術の腕前まで人間離れしている……それでいてこの美少年ぶり。


 今では王都だけでなく、セレスト王国全体で最も有名な人物として、レブルの名前が認知されていることだろう。


「レブル大先生、稽古をつけてください!」


「シャドウ、レブルも忙しいんだ。ということでレブル、今からバイトだぞ!」


「レブルちゃん、他の女の子とかどうでもいいから、お姉ちゃんのところに来て!」


 勇者パーティの面々からの誘い。


「あ、レブル! 王都って美味しい料理屋がいっぱいあるんだね。今からあそこの酒場行こうよ」


「少しその……血を飲ませてもらっても、いいかね?」


 魔界の住人からの誘い。


「お兄ちゃん! 妹が迎えにきましたっ! 頭撫でてください!」


「レブル! この女に惑わされるな! レブルは私と一緒の家で暮らそう!」


 妹系メイドのセリカに、恩人であり師匠のベルタ。


 そして――。


「レブル、魔王エレクトラとの戦い見たぞ! 今度剣術の特訓に付き合ってくれ」


「レブルさん、あの戦いで魔術を使わなかったのはどうしてですの?」


「レブル君、さらに好きになっちゃいました。今度こそ本気で付き合ってください!」


 剣術学園のイナズマ、魔術学園から学術学園に転入してきたシルフィ、オッティ。


 彼に魅了された人物の数は計り知れない。


 多すぎるファンに圧倒されるレブル。

 その様子のレブルを見て、アイシスは()ねたように頬を膨らませながら、こう呟いた。


「レブルを先に好きになったのは、わたしなのに……」


 地獄耳のレブルには、もちろん聞こえていた。






《あとがき》

 こんにちは、作者のエース皇命(こうめい)です。

 実はこの作品のキャラの名前、男性キャラがバイクの名前で、女性キャラが車の名前なんです(ファーストネーム)。


 2話くらいで気づいた読者さんもいらっしゃるかもしれませんね。


 また、宣伝にはなりますが、代表作の『勇者学園の西園寺オスカー』のコミカライズがコミックポルカ、ピッコマで連載中です。

 ぜひご覧ください。原作小説は小説家になろうでも読めます。


 では、また次の作品でお会いしましょう。

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