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デルタループ  作者:


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1/2

ただの  .

油断していた。

そんなわけはなかった。しっかりと準備したはずだ。最低限の衣食住を賄えるほどの。

現実は唐突に。自分たちの未熟さがひしひしと伝わる。



僕はご飯を食べた後に走りたい衝動が来る。これはたぶん脳からの伝達だ。

一緒に遊ぶ相手は時と場合による。それが、空気だったり、親だったり、友達だったりするのだが。

僕はまず、目の前にある木に向かって走り始める。

いいね。今日は調子がいい。徐々に上がり始める体温と、その鼓動。不思議な気分だ。

僕は手始めに一回転をする。全身の関節どもがボキボキと音を鳴らした。

今日は少し遠くまで走ってみよう。そんなことを思いながら、森へと足を運んだ。



一段と今日は晴々としていて、森はひんやり涼しかった。適度な温度で誠に過ごしやすい。

できることならここで暮らしたいな。なんて妄想を膨らませる。

僕は走りながら、快感を覚える。さりげなく100m自己ベストを達成していた。

僕はもうひと段階ギアを上げ、スピードを速める。徐々に遠退いていく森林の音、

風の切る音が心地いい。気づくとだいぶ奥の方まで来てしまったようだ。

帰ろうかとしたとき、僕はあるものを見た。

湖だ。

直径1kmぐらいあるのではなかろうか。

対岸までとても遠い。この湖でうたた寝してみたいな。なんて思いながら、その場を後にした。



家に帰ると親が農作業から帰ってきていた。僕はそれとなくお帰り。と呟くと、自室へ向かった。

声が聞こえる。窓からだ。窓の外には手を振っているイーゴの姿が。

僕は窓を開けると、イーゴは遊んでほしいと言ってきた。

まあやることはあったが、急用ではないので、遊んでやってもいい。

家から出て、僕たちは森とは反対方向の平原へと足を運んだ。


どうやら、かけっこがしたいらしい。自分は了承の意を示すと、彼は僕にタッチしてきて、じゃあ鬼ね。といった。突然のことに同様を隠せないが。始まったものは仕方がない。付き合うと決めたことだし、と思い、全速力でぶち抜きに行った。

結果は言わずもがな僕の圧勝だった。最速でタッチした後、全力で逃げ、イーゴはくたくたのようだった。

無理もない。今日は調子がいいのだから。しかし気になるのは、2分前まで疲れて息を上げていたのに、もう全快しているということだ。なんという回復力なのか。僕はその回復力に深く感激した。

まだ遊び足りないように思える。もう少しばかり遊ぶか。



家に帰ってきたのは、随分暗くなった後だった。僕達は疲れて重い足を運んで、家に着いた。

僕はバタンキューと帰ってきて早々床に寝そべり、ひんやりした床の感触を確かめた。

親はもう晩御飯の支度にかかっているようだ。僕は重い体を使い、自室に行く。

今日したかったことがまだできていない。僕はご飯ができるまで、取り組んだ。

…もうご飯の時間か。母に呼ばれているのを聞き取った僕は、切り上げ、食卓に着く。

いつも通り母の食事は美味しい。だが、それ以上にスパイスとなるのは、親同士の口喧嘩だった。

「あなた今日、仕事サボってどこ行ってたの!!」

「別にいいだろ。親方に許可を取ったんだ。どう使うかは自由だろ!」

…上手い飯も場所や状況によって味は変わるのかもしれない。僕はこの両親に飽き飽きしていた。

毎日喧嘩して疲れないのか。そのエネルギーを仕事に回せば、我が家はもっと豊かになれるのではなかろうか。

まあいい。どうせ今日が最高の日に代わりはないのだから。

ああ、最高の夜が始まる。僕が夢見た世界はまだ手中にある。決行は今日の夜。本当に

くそったれだ!。

親は素早く食事を終えた僕に八つ当たりをしてきたが、僕はたいして気にしていなかった。



夜が来た。そう僕の夜が。僕は晩御飯ができる前に作っておいた巨大なバッグに視線を落とす。

これができるまでに本当に苦労した。布は平原を超え山を越え川を越えた先にいる羊からしか手に入らなかったからだ。

僕は密かに保存庫から取り出していた。干し肉と、自分の衣服を詰める。まだ余裕があるようなので、

誕生日にもらった自分用のナイフや、井戸から水を取るために使う樽。麻紐の束など、生きる上で必要になりえる物たちをバッグに詰めた。

上出来だ。僕はかなり膨らんだバッグを見て、妙な満足感を得ていた。

これでやっと自由だ!!自分の世界を広げるんは、俺や!!

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