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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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24/443

こはっつあんは、そそっかしいったらありゃしない

関東近郊の廃採石場での戦闘は、奇跡的な幕引きを迎えた。

戦隊ヒロイン・月島小春が、敵幹部・鉄刃鬼に単身挑み、壮絶な一騎打ちの末、崖から転落。

だが、その崖の下には偶然、旧トンネル工事跡を改修した政府系の緊急待機施設があり、監視ドローンによって小春の落下を確認、即時にレスキューが出動。


そして今、小春はその施設の医療室で、掛け布団に包まりながら、シーツの端っこを指でくるくる回していた。


「えへへ……骨は無事っぽいし、ヒビもなし! ね、やっぱ私、不死身っぽくない?」


点滴スタンドがカタカタ鳴ったそのとき、ドアがスーッと開いた。


現れたのは、小春の上官、そして“江戸弁全開”の政府高官──

防衛局作戦統制部付指導官、波田はだ 厳蔵いわぞう


黒スーツに深川紺の手ぬぐいを首に巻き、腕を組んで仁王立ち。

どこからどう見ても、“怒ってるけど笑いそうな顔”。


「……よぉ。生きてたか。おめぇさん、またやらかしたってな」


小春はバツが悪そうに笑いながら手を振った。


「ハハ……あの、作戦指示まだ出てなかったの、知ってたんですけど……その、現場見たらつい……体が勝手に」


「体が勝手に、ねぇ……。戦隊も、粋で動く時代じゃねぇんだ」


波田は小さくため息をつき、ベッド脇の椅子にドカッと座った。


「いいか小春、突撃ってのは“隊”の合図でやるから突撃なんだ。おめぇのそれは……ただの“飛び出し”だよ」


「う……ぐぅ……」


「成功しなかったら、ただの無茶だ。成功しても、次は無理させねぇって判断が下りる」


小春はシュンとしながらも、思わず口を尖らせる。


「でも、止まってたら、あの人たち……やられてたかもじゃん……」


「それはな、作戦ってもんの中に組み込むんだよ。江戸っ子でも、せっかちすぎると、粋じゃなくて“おっちょこちょい”になるの。」


そして、波田は肩を落としつつも、ぽつりと、例の一言を漏らした。


「……っつたく。こはっつあんは、そそっかしいったらありゃしない……」


それは、怒っているのか笑っているのかわからない、不思議とあったかい声だった。


小春はうつむきつつ、声をころして笑った。


「それ、町内のご隠居にも言われたばっかなんすけど……」


「おんなじこった。指揮系統も、下町の祭りも、最終的には“段取り命”なんだからよ」


ベッドの上、小春の頬にほんのり色が戻る。


「……わかりました、次からは“飛び出す前に”ひと声かけます」


「できれば2声。あと確認3回。んで、鼻歌は後にしろ」


そう言って波田は立ち上がる。部屋を出る前、ふと振り返って言った。


「次は“無茶”じゃなくて、“戦略的粋な動き”ってやつ、頼んだぜ」


「……はーい!こはっつあん、反省中〜♪」


そんな返事にまた肩をすくめて、波田は廊下の向こうへと消えていった。


その日の夕方、施設の自販機の前で、小春はオレンジジュースを片手に言った。


「……でも、作戦書、分厚すぎんだよなあ。読み終わる前に敵、動くし」


まったく、こはっつあんは、そそっかしいったらありゃしない──

でも、それがきっと、彼女の強さなのかもしれない。

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