3.ビナー
「うー……」
七罪の皆さんと同居を初めてから1週間……家計簿と算盤を手にうんうんと唸っていた……というかこれは唸らざるを得ないだろう。
いくらボクのお婆ちゃん……祖母の遺産で当分は働かなくても暮らしていける程度の余裕はあるとはいえ、まさかその遺産で豪遊というのはできるはずがない。
未成年であるが故に、代理人によって遺産は管理されている。そのためにボクが……ボク達が1ヶ月に使えるお金は大まかに決まっているのだ。
とどのつまり、悩みごとはなにかと言うと……
「うわ~……どう計算しても……このままだと……月末までお金が持ちそうに無いですねぇ……」
食費はレンゲル融合……間違えた、エンゲル係数がインフレを起こしてジンバブエドルもかくやというハイパーインフレ状態だわ、その他……光熱費はまあまだいいとして、問題はその他の買い物……
とどのつまりマンモンさんの浪費癖によるものですね本当に……ありがとうございました
……ありがとうございましたの一言で済む話ではない。食費は一応説明すれば問題はなさそうだが、流石に浪費癖のある同居人の浪費でお金が必要ですなどと、口が裂けても言えない。
陳情……というのは少し意味合いが違うけれども、一度言っておいた方がいいかもしれない
「失礼します、マンモンさ」
「これでベエルの攻撃は終了、この状況ならサキュテクアンサプで勝てるじゃん、やったーぼくの勝ちっぽい!」
「……甘い、ワタシはどさくさに紛れてコスト5を支払い、
エヴィルオーラをメインフェイズに発動していた。この効果で……このターン、連続攻撃が可能となる……! 三連打、からの四連打……!」
「ちょっとふたりともー終わったようなのでちょっといいですかー?」
「甘いよベエル! ぼくは」
「……一時中断……してくれませんか?」
「「アッハイ」」
笑顔でやんわりと説得すると、案外アッサリと落ち着いて話を聞いてくれた。
カードゲームに熱中するのはまあいいとしても、もう少し自重をしてくれないだろうか……浪費癖、暴飲暴食癖諸共。
「まず、ベエルちゃんにもついでに話しますけど、貴女達が原因で、家計がピンチです。食費はまだなんとかなるにしても、マンモンさんの浪費癖がとても酷いせいでかなりピンチです。日本の財政と同じくらいにガタガタのボドボドです。正直、カードゲームなんかにお金を湯水のように使われると」
「正座」
気が付くと目の前にマンモンさんが立っていた……ボクの首を掴む寸前で手を止めながら……
「……恐ろしく早い臨戦態勢……ワタシじゃなかったら巻き込まれていた」
そんなことを言いながらさっさと一瞬でデッキらしきものを2つ共片付けてそそくさと逃走したベエルちゃんが恨めしい。自業自得といえども恨めしい。
「……出雲君、キミはカードゲームを蔑視しているようだけど……もし異世界からの侵略者がカードゲームで侵攻してきたとしたら、どうするつもりなのかなぁ?」
「……例え自体おかしい気もしますけど……そもそも蔑視なんてしてるつもりはありませんけど……? ただ、高いお金を出してまでやるのは」
「土下座」
「そこまで怒りますか普通!? ただ、ボクはそれなりの勝率をあげたいだけならそんなにお金を使わなくても」
「……はぁ……これだから子供時代で感覚が止まっているカードゲーマーはダメなんだよ……いい? ぼくが欲しいのは暁の水平線に刻める勝利のみ! それが出来ないデッキなんて、ただのファンデッキなんだ! 1樋口さんで組んで勝ちましたァ? そんな勝利なんて樋口さんさん一人分なんだよ! かけたお金の価値こそが、勝利の価値なんだよ!」
「それは違いますよ!(論破)
勝利の価値、それは掛けたお金ではありません! 勝利の価値、それは……カードゲームへの情熱そのものの価値ですよ!」
ぼくがそう言い放つと、マンモンさんは鳩が豆鉄砲を喰らったような……もしくは鳩総理がアーチェリーの矢を膝にうけてしまったかのような……顔をした。
「……ッフフフ……アーッハハハ! ぼくとしたことが……この町に伝説と呼ばれた少年が居るのを忘れていたよ……」
「あ、多分人違いです。」
「…………出雲君、こういうときはのってよねーちゃんと~」
不服そうな表情でつっこまれてしまった。
というか、その伝説の少年に会ったことがあるようなないような……
「……なにこのオチ」
物陰に隠れていたベエルはポツリとつぶやいた
気づいたら一日でこの話を書き上げていました
たぶん題材が題材だからだと思うんですけど(名推理インフェルノイド)




