Q,もし少年王子が本気出してきたら。
A,ヤンデレになります。
「お姉さん!」
「湧いて出たねロキ君。」
最近、やけに少年王子ことロキ君が絡んでくる。
とくに、誰かと話している時。まるで図ったかのように抱きついてくる。
わたしは乙ゲー主人公や、ふんわり系癒やしほのぼの系すれ違い恋愛小説の主人公のように愛らしい天然な性格ではないので、偶然だとは考えられない。
というか、ここまで来て偶然じゃなかったら逆に怖い。
運命とかだったら、神さまはわたしをショタコンに仕向けようとでも言うのだろうか。
考えるだけでもゾッとする。
しかも二人きりでいる時間がやけに長い。
なんか仕組んでるよね腹黒って怖いわぁ。
「お姉さんはいろんな人に好かれやすいですよね。」
「えぇっ、急にどうしたの。」
ある日、わたしの部屋でお茶をしている時、唐突にロキ少年はそう切り出した。
きゅっと、腰に手を回して抱きつく少年は大変可愛らしい。
わたしよりやや身長の低いロキくんが上目遣いでわたしを見つめてくる・・・・・ちょっとわたし豆腐の角に頭をぶつけるべきだと思った。
こんな年下に一瞬でもときめいてしまった自分が怖い。
「最近ね、思うんです。」
「・・・なにを?」
「お姉さんがボクだけを見てくれたら、ボクだけしか目に入らないようにしたら、幸せだろうなって・・・思うんです。」
これが噂に聞く・・・いや正直に言おう、わたしが少し前までドはまりし読み漁っていたヤンデレというジャンルか。
いやいやちょっと待って、洒落にならん。
反射的に一歩下がろうとするも、この子意外と力強くてそれすらできないんですけど。
いやまさかそこまで本気で好いてくれているとは知らなかったよごめんね少年。
「おねーさん」
「うわ!」
鎖骨に吸い付いたと思ったら、わざとらしくリップ音を立てて離した。
びっくりした!とてもびっくりした!!
離れようとしてもびくともしない、何なのこの子。
「関係ないこと考えていちゃ、嫌ですよ?」
「一々あざといなきみは。」
「・・・あはっ、でもきらいじゃないでしょ?」
わかっていても可愛いと思ってしまう自分が憎い。
「ねぇお姉さん。一緒にボクの国へ来てください。ね、簡単でしょ?」
「きみの国が犯罪大国ではなく、かつきみがそんな好意をわたしに向けていなければ嬉々として向かっただろうね!」
ついて行ったら最後、監禁コースまっしぐらじゃないか。いやだよそんなの。
確かにヤンデレはいい。とてもいいと思うよ!でもそれ二次元の話だから。
「えー、残念。」
「なにが、ぁっ・・・!」
ぶつり、と首筋に痛みが走った。
突然の痛みに混乱しそうになる頭を何とか正常に保って、元凶を睨みつけた。
その口から滴っている血が自分のものだと思うとひやっとする。
「ボクね、人喰いの魔族と人間のハーフなんです。」
「・・・。」
「どうします?ここでボクに食べられて死ぬか、国に一緒に来るか。
ね、簡単でしょう?」
にこりと笑って、首筋から流れる血をべろりと舐めとった。
これホントにやばいタイプのヤンデレだわ。
ぐらぐらと、混乱と恐怖と貧血で頭が揺れる。
なんとか意識を保とうとしたけど、所詮一般市民のわたしは、そこで気を失った。
気がついたら、見知らぬ広い部屋の、ど真ん中に転がされていた。
足枷も手枷もない。けど残念ながら、そんなものがなくてもわたしは逃亡なんて出来ない。
悲しいことにわたしは勇者でも騎士でもない、ただの勇者の姉の一般人なんだから。
選択肢アンケとかやってみたかったけど、たぶん誰も票を入れてくれないだろうと悲しい予想がありありと浮かんできたのでやめました。
ちなみにそのアンケ↓
① 「ボクの国へ行きましょうか。」←今のがこれ。
②「ちょぉおおっとおおおぉぉぉお?!綾華の体にアレコレしていいのはワタシだけなのよ!」→ギャグEND
③「あ、姉貴から離れろバカロキー!」→綾斗死亡END
④「でもどうしたって、お姉さんの一番はあの勇者なんでしょ?」→綾斗死亡&エグい監禁END
の四択でした。
こんな連載ですが、完結していますがちょこちょこ上げていくので、今年もよろしくお願いします。
リクエストとかしてもいいのよ・・・!(/ω・\)チラッ