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ただの魔法使いですが、推しのアイドル騎士様に執着されています。  作者: 湊一桜
第四章

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彼と結婚出来て、最高に幸せです

最終話となります。

お付き合いいただき、ありがとうございました!!

 騎士団長スタニスラスが、魔術師団員エルザ・リヴィエールとの婚約を発表した。結婚式は婚約発表の一ヶ月後に行われた。異例の速さだった。


 人々は我が推しの結婚にショックを受けつつも、その結婚を祝福した。エルザ・リヴィエールは兄とともに首都ニーズを魔物から守った恩人であり、名家リヴィエール家の末裔であったから。


 結婚式は大聖堂にて粛々と行われ、多くの参列者が二人を祝福した。




◆◆◆◆◆




「やっと結婚式も終わったね」


 新居にたどり着いた頃には時刻も変わっていた。そして、張っていた気が緩まり、どっと疲れが襲ってきた。

 その疲労感の中、急いでシャワーを浴びてナイトドレスに着替える。今夜はゆっくり眠れそうだ。


 すっかり眠る準備が整った頃、私の後にシャワールームを使っていたスタンが出てくる。白いシャツを着て、その濡れた髪をバスタオルで拭きながら。水も滴るいい男とは、こういった男のことを指すのだろう。いつも通りのスタンなのに、なんだか恥ずかしくなって目を逸らした。


 私たちは何度も寝室を共にしたことがある。だが、スタンはキスこそするが、私を抱きしめて眠るだけだった。だから疲れ切っている今日に限ってそんなことはない、と私は安心しきっている。


「今日はお疲れ様、スタン。今日のスタンもかっこよかったよ」


 ふふっと笑う私の隣に、そっと腰を下ろすスタン。彼はいつもの、ほんわかとした柔らかい口調で告げた。


「今日のエルザも可愛かったよ」


「スタンに可愛いって言われても、説得力ないんだから」


 ぷうと頬を膨らます私を見て、スタンは幸せそうに笑う。


「そんなことないんだよ。

 僕にとって、エルザは世界一可愛いんだ。頑張り屋なところ、いつも笑っているところ、そうやって拗ねるところだって可愛い」


 触れるか触れないかのキス。それだけで、かあっと顔に血が昇ってしまう。


「こんなに可愛いエルザと結婚出来て、僕は世界一の幸せ者だよ」


 そんなに幸せそうな顔で、そんなに愛しそうな瞳で、そんなに甘い声で言われると、私のほうが幸せだと思ってしまう。誰もが憧れるが近くで話さえ出来ないような、かっこよくて凄い人に愛されているだなんて。溺愛。まさしくその言葉が相応しいほど、私はスタンに溺れている。


 再び唇を重ねる。先ほどの軽いキスとは違い、キスは少しずつ深くなっていく。頭がおかしくなりそうでスタンのシャツをぎゅっと掴むと、彼は切なげな顔をしてその銀髪を掻き上げた。


「エルザ、疲れてるよね。

 でも、エルザの時間をもう少し僕にちょうだい? 」


「えっ!? 」


 どういうことだろうと必死に頭を働かせる。だが、どう考えてもそういうことだとしか考えられない。真っ赤な顔でスタンを見る私にスタンは軽くキスをし、お姫様抱っこする。動揺しながらも、私はスタンの頑強な体にしがみついていた。


 スタンは軽々私を持ち上げると、そのまま大きなベッドへ歩いていく。そして、大切なガラスでも置くように、そっと私をベッドに下ろす。


 見上げると、スタンの甘くて優しい美しい顔。綺麗すぎて思わず見惚れてしまう私を見て、彼は愛しそうに目を細める。だから微笑み返すと、また甘いキスをくれた。


 こうして、私はスタンと甘い甘い一夜を過ごした。その愛を一心に感じ、幸せだと思った。……世界で一番、幸せだと思った。





◆◆◆◆◆





 数年後……



「ママー!いいにおい!! 」


 銀色の髪に茶色の瞳を持つ小さい少女が、私の足元に駆け寄ってきた。


「これ、なあに? 」


「これはシフォンケーキっていうんだよ」


 私は焼きたてのケーキを包丁で切り、生クリームをトッピングする。


「わぁ、美味しそう!! 」


 フォークを持って頬を緩める少女を、


「メラニー」


愛しそうに彼が呼ぶ。彼は勤務が終わったのだろう、ブルーグレーの騎士服に、メラニーと同じ銀髪を輝かせている。そして、市民の前ではあまり見せない満面の笑みで彼女を見た。


「ジャンに聞いたよ。メラニーも、伝説の魔法が使えるようになったんだって? 」


 すると、メラニーは彼そっくりの顔で無邪気に笑って答えた。


「うん!やっと使えるようになったんだよー?

 これでメラも魔術師団に入れるねぇ? 」


「ママみたいなすごい魔法使いになれそうだね」


 スタンは満面の笑みを浮かべ、メラニーの銀髪をくしゃっと撫でる。


 そんななか……


「パパー!! 決闘しよ、決闘!!」


 外で遊んでいたジャンが帰ってくる。相変わらず泥で汚れ、どこから持ってきたのか分からない木の棒を振り回している。


「ジャン!家の中で暴れないの」


 注意すると、ジャンは焼きたてのシフォンケーキをパクッと口に入れ、スタンの騎士服を引っ張って庭へ連れ出す。


「俺さー、騎士団長ごっこしてたんだよ!!

 魔法も使える騎士団長なんて最強じゃん。

 本物の騎士団長を倒せば、騎士団は俺のものだ!!」


「それなら、簡単には騎士団長の座は渡さないよ」


 スタンは笑顔で言い放ち、落ちていた木の棒を手に持つ。それを見て、メラニーはませた顔でこう言った。


「あーあ。男ってダサいよねー。

 絶対魔術師団長のほうが、可愛いのにーっ!! 」


 その口調に驚きつつも、メラニーに笑顔で告げた。


「でも、そんなパパやジャンが、ママは大好きなんだよ」





 私は今、こうして家族四人で楽しく暮らしている。魔術師団員の仕事をしつつも、アリスさんのカフェを手伝ってもいる。

 そして、私の両親が守ってくれたように、この二つの小さな命を全力で守ろうと決めている。


 だが……リヴィエール兄妹が軍に付いていることが知れ渡った今、首都ニーズは驚くほど犯罪が減った。革命軍も、今のところ目立った動きを見せていない。

 さらに、私は子供たちにリヴィエール家の『伝説の魔法』を伝授しようとしている。ただいま、ジャンとメラニーは魔法の特訓中だ。こうしてリヴィエール家の伝統も、次の代に受け継がれていくのだろう。


 子供たちは将来、この凶器ともなる魔法を正しく使い、ニーズの街を守る新たな存在になってくれるに違いない。

 そして平和な街を見ながら、私とスタンはその役目を終えるのだ。


 命尽きるまでずっと、この愛しい人たちと共にいたい。



読んでくださってありがとうございます。

ここまでとても長かったと思いますが、お付き合いいただけてとても嬉しいです。

読んでくださっている皆様のおかげで、無事完結することが出来ました。

ありがとうございました!!



いつも読んでくださって、ありがとうございます。

気に入っていただけたら、ブックマークと評価をしていただけると嬉しいです!

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