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卒業式


 きっかけはふとした瞬間に訪れる。デートに誘ってから一年と少し、気まずくて会話すらしていないぼくに君は話しかけてきた。


「私たち三年間同じクラスって運命的じゃない?」


「あ、あぁ……そうだね。でも、ほとんど話していないよね」


「それも含めて運命的じゃない? このまま高校生活がずっと続けばいいのに」


 これは夢か、はたまた嘘か。


 彼女の横顔はぼくに向けられたものではないと思った。思っていながらも、ぼくは気づいていないフリをした。その罪は重かった。


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