第57話 蕾の囁き、初めての光
夕暮れの残光がレースのカーテンを透かし、白百合の部屋を淡い紫銀に染めていた。
二人はベッドの上で向かい合い、素肌を晒したまま静かに見つめ合っていた。
桜良がそっと手を伸ばし、紡の頰に触れた。
指先から、柔らかな光の粒子が小さな花弁のように舞い上がる。
「紡……怖くない?」
小さな声で尋ねると、紡は恥ずかしそうに首を横に振り、琥珀の瞳を潤ませながら微笑んだ。
「咲良さんが……いてくれるから、大丈夫です」
桜良は優しく頷き、紡の小さな体をそっとベッドに横たえた。
自身もその上に覆い被さるように寄り添い、黒髪ロングが二人の裸体を優しく覆う。
最初は、ただ唇を重ねるだけの、柔らかなキスだった。
花弁が触れ合うような、控えめで優しいキス。
紡の息が少し震え、桜良はそれを宥めるように角度を変え、何度も優しく繰り返した。
やがて、桜良の舌がそっと紡の唇を割り、ディープキスへと移っていった。
甘い花蜜のような唾液が絡み合い、互いの口内で静かに溶け合う。
紡の体がびくりと小さく反応し、控えめな喘ぎが漏れた。
「……ん……っ」
しかしその喘ぎは決して大きくなく、代わりに紡は何度も桜良の名前を呼んだ。
「咲良さん……咲良さん……」
その呼び声が、桜良の胸を熱く震わせた。
桜良はそれに応えるように、紡の細い首筋に唇を滑らせ、優しく吸う。
指先は紡の鎖骨をなぞり、ゆっくりと下へ。
きゃしゃな胸の膨らみに触れると、掌全体で優しく包み込むように愛撫した。
光の粒子が二人の肌の間で淡く輝き、白百合の香りが部屋に濃く満ちていく。
紡の体は初体験の緊張と快感で小さく震えていたが、桜良は決して急がず、すべての動きを優しく、丁寧に続けた。
指が胸の蕾のような突起をそっと転がすと、紡はまた控えめに息を乱し、
「咲良さん……あ……咲良さん……」
と、名前を繰り返して呼んだ。
桜良の紫銀の瞳は優しく細められ、紡の反応一つ一つに答えるように愛撫を深めていく。
もう片方の手は紡の細い腰を撫で、蔓のように優しく絡みつきながら、下腹部へとゆっくりと降りていった。
二人の体温が重なり、花の蔓が静かに絡み合うように、
初めての交わりの予感が、部屋の中に甘く満ち始めていた。




