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第31話:すみれの蕾 ― 親友の恋と芽吹きの先

翌日の放課後、白百合女学院の温室はいつもより少しざわついていた。

すみれ野 あかりは、つむぎの親友として知られる1年生だった。

短めの明るいすみれ色の髪と、優しい紫色の瞳が印象的な少女。

彼女は初めて本格的な花紡ぎの儀式に臨むことになっていた。

あかりは温室の隅で、制服のすみれ色のリボンを指でいじりながら、静かに立っていた。

心の中は複雑だった。


挿絵(By みてみん)



(紡……私はずっと、あなたのことが好きだった。でも、あなたはもう桜良さくらさんのそばに……)


つむぎへの密かな恋心。

それが、最近の二人の親密さを見て、はっきりとした現実として突きつけられた。

あかりはそれをあきらめなければならないと、自分に言い聞かせていた。

そんな彼女を、昨日まで慰めてくれていたのが、相手となる3年生だった。


「あかりちゃん……緊張しているの?」


穏やかで優しい声が背後からかかった。

3年生の少女、白藤 ゆかり。

中守り人候補として期待されている、穏やかで包容力のある先輩。長い白髪、柔らかな緑がかった瞳を持つ。

彼女の適性は「白藤」で、優しく絡みつく藤の花を象徴する。


挿絵(By みてみん)



あかりは振り返り、頰を少し赤らめて小さく頷いた。


「はい……初めてなので……少し怖いです。でも、白藤先輩がいてくださるので……」


白藤 ゆかりは優しく微笑み、あかりの肩にそっと手を置いた。


「大丈夫。昨日まで話した通り、芽吹きから始めて、徐々に進めていきましょう。

無理はしないで。あなたのすみれの花は、とても優しくて綺麗だから」


すでに二人は芽吹きの段階まで進行していた。

昨日までの何度かの触れ合いと、軽い抱擁で、淡いすみれ色の光粒子が互いに反応し始めていた。


あかりは胸の奥で、つむぎへの想いを静かに押し殺した。


(もう、あきらめないと……紡は桜良さくらさんを選んだんだから)


その想いを、白藤 ゆかりは優しく受け止めてくれていた。

中守り人候補としてのあかりの戦いが、今、静かに始まろうとしていた。


「では……明日、誰もいない私の自宅で、続きをしましょう。

学園より落ち着いてできると思うわ」


白藤 ゆかりの言葉に、あかりは小さく頷いた。

心はまだ揺れていたが、先輩の温かな包容力が、少しだけ不安を和らげてくれる。

一方、温室の別の場所では、桜良さくらつむぎが並んで歩いていた。

二人はまだ昨夜のディープキスと抱擁の余韻を胸に、穏やかな時間を過ごしていた。

つむぎはふと、親友の姿を目にとめ、小さく手を振った。


「あかり……」


しかし、あかりは少し寂しげな笑顔で手を振り、すぐに白藤 ゆかりと一緒に温室を後にした。

桜良さくらはそれを見守りながら、静かに思った。


(ゆかり先輩とあかりさんも……自分の花を咲かせようとしているのですね)


生徒会の先輩であるゆかりと紡の親友のあかりの未来を祈る咲良だった。


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