表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/71

第28話:夜の温室 ― 開花の深化

夜の白百合女学院は、静けさに包まれていた。

古い温室のガラス屋根に月光が淡く反射し、内部を柔らかな銀色の光で満たしている。

空気は湿り気を帯び、さまざまな花の香りが静かに混ざり合っていた。

桜良さくらは、つむぎを誘うように温室の奥へと導いていた。

制服の純白のブラウスに淡い紫のリボンが、月光を受けて優しく輝いている。

スカートの淡いグレー部分に白百合の模様が薄く浮かび、歩くたびに花びらのように柔らかく揺れた。


つむぎさん……今夜は、もう少しだけ、ここで一緒にいましょうか」


桜良さくらの声はいつもの優等生らしい穏やかさを含みながらも、わずかに熱を帯びていた。紫銀の瞳が、月光の中で静かに輝く。

つむぎは小さく頷き、琥珀の瞳を輝かせた。

彼女の制服の桜色のリボンが、胸元で可憐に結ばれている。膝上寄りのスカートが、152cmの小柄な体に優しく沿い、歩くたびに桜の花びら模様が淡く揺れた。


「はい……桜良さくらさん。私も……一緒にいたいです」


二人は温室の奥にある古いベンチに並んで座った。

周囲の花々が、微かな光を放ち始めている。桜良さくらの白百合適性と、つむぎの桜適性が静かに反応し、淡い紫と桜色の光粒子がゆっくりと舞い始めた。


桜良さくらはそっとつむぎの小さな手を握った。

指が絡み合い、温もりが伝わる。朝に交わした約束。

登下校を手をつなぎ、下校時に軽いキスをする。

胸の内で甘く響いていた。



挿絵(By みてみん)



つむぎさん……紫藤のお姉さまたちのお言葉を聞いて、私、少し勇気が出ました」


桜良さくらは静かに囁き、つむぎの肩を引き寄せた。

二人の体が自然と近づき、抱擁へと移る。純白のブラウスが触れ合い、リボンが優しく擦れる。つむぎの琥珀の瞳が、わずかに潤んだ。


桜良さくらさん……私も、桜良さくらさんと一緒にいると、心が温かくなります」


抱擁が深まる。

桜良さくらの唇が、つむぎの額に、頰に、そしてそっと唇に触れた。

それは軽いキスよりも、ずっと深く、優しく、しかし確かな想いを込めたものだった。


淡い紫と桜色の光粒子が、二人の周囲で一斉に輝き始めた。

白百合の清らかな光と、桜の儚く華やかな光が混ざり合い、温室全体を幻想的な光の霧で包む。


桜良さくらの心の蕾が、大きく震えた。

身体は姉・澪からの繰り返しの愛撫に慣れているはずだった。

それでも、今この瞬間、つむぎの純粋な温もりに触れると、心の奥底にある閉ざされた部分が、優しく、しかし確かに開き始めている。唇が重なり、キスが深くなる。

舌がそっと触れ合い、甘い花蜜のような感覚が二人の間に広がった。

つむぎの桜適性が反応し、淡い桜色の光粒子が一斉に咲き乱れるように舞い、桜良さくらの白百合の光と優しく絡み合う。


「ん……桜良さくらさん……」


つむぎの小さな声が、キスの合間に漏れた。

彼女の体がわずかに震え、純粋で初々しい桜の香りが、温室に甘く広がる。




挿絵(By みてみん)


桜良さくらつむぎを抱きしめる腕に力を込め、キスをさらに深めた。

蔓のような優しい感覚が、二人の体を包み込む。

まだ交花の段階には至っていない。

しかし、開花は確かに深化していた。

心の蕾が大きく震え、互いの感情が花として鮮やかに具現化し始めている。月光の下、二人の制服が光粒子を優しく反射していた。

白百合の刺繍と桜の模様が、淡い紫と桜色の輝きの中で美しく浮かび上がる。

桜良さくらは唇を離し、つむぎの琥珀の瞳を真っ直ぐに見つめた。


つむぎさん……この蕾は、もうあなたなしではいられなくなりそうです」


優等生らしい穏やかな声ながら、そこには揺るぎない想いが込められていた。

つむぎは頰を赤らめ、しかしはっきりとした声で答えた。


「私も……桜良さくらさんと一緒にいたい。もっと、深く……」


二人は再び唇を重ねた。

温室の光粒子が、淡い紫と桜色に染まり、優しく舞い続ける。

開花の予感は、ますます強く、甘く、運命的に深まっていた。


遠くで、微かな棘の影が学園のレイラインを揺らしていたが、今この瞬間、二人の世界は静かで、純粋で、甘い光に満ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ