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加護持ち領主の和平活動  作者: アイゼン・ジム・トンプソン
第一部 帝都動乱編
10/135

反逆の徒はオレンジの香りじゃけえね

三つ編みイケメンは目を覚ましており、俺に唾を吐きかけると目を閉じた。

「……殺すなら殺せ」

「なあ、俺が誰だかわかってるのか?」

「あの圧倒的なまでの武力、ガルシア侯爵家しかおるまい」


おっ、結構こいつしゃべれるじゃん。


「俺はミヒャエル。ガルシア家の当主代行だ」

「…ぐっ」

びびってるびびってる。


「お前の持っている情報を吐け、さもないとあの時死んだ方が良かったと思えるようになるぞ」

「……」

「……なあ、なんで俺がお前を助けたと思う?」

「……何も話さんぞ」

「平行線だな。ガルバリウス」

俺が手を叩くとガルバリウスがガチャガチャをいう音を立てながら、銀のお盆を持ってきた。


「ミヒャエル様」

ガルバリウス

「おう、持ってきたか」

「これを…」

ガルバリウスはガラスの大きな注射器に薄紅色の薬を吸い取った。


「これがなんだかわかるか?」

「……」

「お前に使った矢に使ったものとほとんど同じだ。まあ、致死性は大分低いがな」

ガルバリウスの矢毒は神経毒のカクテルで、体も動かせないほどの痛みと、呼吸困難、幻覚、嘔吐など様々な薬効を持っている。

「ぐっ……」

三つ編みはその時の激痛を思い出したらしい。


俺は三つ編みをつかんで顔を無理やり向ける。

「誰が黒幕とかはどうでもいいんだ。どうせ俺たちが叩き潰すしな。それよりも、なぜお前が勝てない戦いに挑んだのかを知りたい」

ジルバンテによると三つ編みの軍は統率もとれ、よく訓練されていたという。それに、帝都の城壁に近づくまで誰も気がつかないなんてことはありえない。つまり、帝国内部に黒幕がいる可能性が非常に高い。


俺は皇帝陛下の顔を思い出していた。仮にもミヒャエルと呼ばれる男である限り、俺はあの人を守ろうと決めた。

「これが最後だ」

黒幕を潰しても、帝国が腐っている以上次のやつは出てくる。ならば、俺のすることはこの帝国の最強の楯と剣になること。


「……」

「残念だよ」

俺は三つ編みの首筋に注射器の液体を差し込んだ。


舌を噛まないように三つ編みの口に布を差し込む。

「ガルバリウス」

「はい」

「絶対に殺すな」

「はい」

俺は三つ編みの悲鳴を耳にしながら、地下室を後にした。


「ずいぶん良い趣味ですねえ」

アドナイアスが隠し扉の前で待っていた。

「仕方がないだろう」

「そうですか、私から見たらあの王子といい勝負だと思いますけどね」


アドナイアスが俺を椅子に座らせると、温めたワインを差し出した。

「どうぞ」

「さんきゅ」

「はあ、急に色々なことが起こりましたからね。あなたが気負うのも無理はないと思います。皇帝陛下はずいぶん、その庇護欲を誘う方ですしね」

「まじで、誰にでもそうなの?」

「誰にでもというわけではありません。しかし、本当に裏切らない、信用できると人間には異常なほど執着するとは思っておりました」

「父上、いや先代侯爵にもそうだったのか?」

「それはもう、兄上と呼んでいたぐらいですから」

あー、わかる。あの陛下(ショタver)に懐かれたら冷たくできないわ。


「ミヒャエルとの面識はほとんどありませんが、今回の戦いで勝利したあなたが先代と重なったのでしょう。ですから、あなたにはこれから陛下の事でずいぶん苦労されると思いますよ」

「いや、俺は別に…」

「陛下にお会いしていなかったとして、あの捕虜を拷問にかけていなかったと誓えますか?」

「…誓えません」


確かに俺は陛下と話してから、ちょっと頭に血が上っていたのかもしれない。

「あなたが領主を継いでくださるといった時から、ジルバンテ、ガルバリウス、私と家臣たちはあなたをお支えする覚悟です。統治者に必要な残酷さや冷酷さをあなたがしょい込むことはないのですよ」

俺はアドナイアスに頭を下げた。

「すいませんでした」

「ゆっくりやりましょう。なにせ、相手は侯爵領なのですから」

「はい」

アドナイアスは俺の肩をポンポンと叩いて部屋から去った。


「ミヒャエル様」

振り向くとガルバリウスが血まみれで立っていた。


完全に忘れてたな。

「奴がすべて吐きましたぞ。やはり、帝国内部に黒幕がおりました」

「それで奴は?」

「その、ちょっとばかりまずいことになりましての」

「なんだ?」


「あの男はオラニエ家の三男でした」

なんだっけオラニエ家?

「ミヒャエル様との縁談が進んでいる“ネロリの君”の兄上です」


……やばいな


「…それって超やばいよね」

「ええ、下手をすればこちらに火の粉が降りかかってこないとも限りません」


えーーー。どうしよ。もうネロリの君とか見捨てる?


ジルバンテが鎧姿のまま入って来た。

「ミヒャエル様!」

「どうしたどうした?」


「帝国軍が門前に来ております」

「もしかして、オラニエ家の事がばれた?」

「ご存じだったのですか!?」

「いや今知ったばかり」



「……オラニエ伯爵家の三男。リベルト・デ・フェ・オラニエを差し出せと」

どうしよ。もうネロリの君とか見捨てる?

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