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指紋  作者: kazu
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終止符

その話に依れば、柴田は小松の浮気相手だった三人の女性を、絶対に許さないと言ったのだ。そして、その場で小松の指から指紋を採取して、それを元に小松の右手となるダミーを作り上げたのだ。

それを持って、先ずは琴野幸恵を襲ったのである。覆面を被っての犯行で、自分が女だと言う事を偽る事に成功した柴田は、体育会系の腕力で琴野幸恵を殴った。尚且つ、捜査を困惑させる為に、完全に男だと思わせる様に、琴野を裸にして強姦した様に見せかけたのである。

 次も同じ様に、仕事帰りの西野麗華を待ち伏せした柴田は、覆面を被って西野を襲うと、そのまま公衆トイレに連れ込んだ。そして、男が襲った様に西野の服を引き裂くと、そのまま首を絞めて殺した。

 最後には、仕事帰りの中村聡子の帰り道を前以って探っていた柴田は、公園で待ち伏せしていた。毎回公園内を通る事を調べていた為に、大きな石を忍ばせていたのだ。そして、そこに連れ去った柴田は、腕力にものを言わせて中村を動けなくした。そして、男の犯行の様に仲村を裸にすると、側に置いていた石で中村の頭を殴った。

 そして、全ての犯行の場所で同じ様にとった行動は、仕事で培った技術を生かした小松のダミーの手。それを使っての指紋を残していったのである。

 始めに言っていた竹下の証言。その中に在った男性の体液。それが残されていなかったのも、犯行を行ったのが女性である柴田だったからである。殺された三人の女性の下半身は、強姦された様に見せかける為に指で掻き回したと考えられる。

 完全に計画された犯行であった。

 話を全て聞き終えた相沢と、隣の部屋でも同じ様に話を聞いた田辺は、三人のチンピラをそこの所轄の警察署に委ねたのである。

 もちろん、三人の男はその場で逮捕となった。

 部屋を出た相沢と田辺は、お互いが顔を見合わせて頷くと、柴田の勤めている特殊メイク加工の職場に向かっていた。

そして二人は、柴田の居る会社に入って行った。

中では、映画に使う顔の製作を行っていた柴田の姿があった。そして、そこに居た職場のリーダーらしき人物に声を掛けた相沢は、

「柴田…… 久美子さんに話があるのですが」

 そう言った。それに反応したリーダーは、柴田を呼び寄せた。

「はい」

 声に気付いて頭を上げた柴田がそう答えると、会釈をする相沢と田辺に気付いた。

頭に巻いていたタオルを素早く取り払った柴田は、一礼をする二人の方に歩み寄ってきた。

「この人たちが、君に用事があるそうだ」

 そう言ったリーダーに、

「わかりました」

 と答えた柴田は、相沢と田辺に、

「部屋の外で、お話はそれから……」

 と、小声で言った。

三人が部屋を出た瞬間、警察手帳を柴田に見せる二人だった。そして、

「我々が来た理由…… もう解っていますね」

 相沢がそう言った時、一端二人の顔を睨みつけた柴田だったが、ふっと小さな溜息を吐いて薄笑いを浮かべると、小さく頷く柴田だったのである。

「署まで、御同行願いますね」

 と相沢が更に言うと、再び小さく頷いた柴田だった。それを見た田辺は、職場のリーダーの者に事情を説明する為に、職場の中に入って行った。

 こうして、連続婦女暴行殺人の真犯人は逮捕されたのである。

 捜査が難航した分、若手二人の手柄により事件は解決した。


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