ep.657 黄金の地獄キッチン、あるいは「逃亡者たちのフルコース」
「騎士さーん!」「パパぁー!」という、恐怖の「自称・家族」の咆哮が巨大レモン城の廊下に反響します。その猛追を振り切るべく、猫二を背負った騎士が滑り込んだのは、巨大な自動調理扉の向こう側――「第13暗黒調理場」でした。
「にゃうにゃああ!これです!逃亡劇の定番、調理場への逃げ込みなのですー!!飛び散る小麦粉!燃え盛るコンロ!咲姫、ヨダレが止まらないのですー!!」
咲姫は調理場の上部にある換気ダクトに陣取り、業務用送風機の風で尻尾をなびかせながら、絶好の角度でレンズを向けました。
「……ふふ。……ここなら、レモン汁の蒸気で視界が遮られる。サヨの判子(追跡)も、アリスの重圧も、一時的には凌げるはずだ……」
「騎士、甘いニャ!ここは調理場じゃなくて『戦場』だニャ!ほら、目の前から『時給22NkQ(成長の余地)』で自動制御された超高速スライサーが迫ってきてるニャー!!」
極新人が「効率化こそ正義!」と設計した調理システムが、侵入者である騎士たちを「今日のメインディッシュ(レモンチキン)」と認識。時速25NkQの超重力スライサーが、騎士の黄金の筋肉を狙って襲いかかります。
「さらっと。警告。調理場の清掃プログラムが作動しました。……騎士様、背後のサヨ様たちは『賞味期限切れの過去』として、巨大コンロの火柱に焼かれつつあります。……が、執念で火力を吸収してパワーアップしています♪」
「あはは!見てよ、サヨちゃんが『この火で騎士さんへの愛を焼き固めるわ!』って言って、フライパンを武器に突進してきたよぉ~!カオスだねぇ♪」
うさちぁんが酒樽をまな板にして、飛んできたレモンをカットしながら笑います。そこへ、背後から炎を纏ったサヨと、巨大な麺棒を振り回すアリスが乱入してきました。
「騎士ィィ!逃げるなら僕を下ろすニャ!このままじゃ僕まで『レモンバジル猫の香草焼き』にされちゃうニャー!!」
「断る!お前は私の『背中の盾』……いや、家族という名の重圧を分散するための『バラスト(重し)』だ!行くぞ猫二、次はあの『自動お玉・乱打地帯』を突破する!!」
「にゃうにゃあ!最高なのです!猫二さんが物理的に2倍増しで振り回され、背後からは自称・本妻たちが炎を上げて迫る!この『調理場大脱走』メイキング史上最高のパニック・ホラーなのですー!!」
咲姫がシャッターを切るたびに、調理場では小麦粉爆発(粉塵爆発)が起き、ホワイトソースの海に未開人が溺れ、極新人の「人件費削減」プログラムがさらに狂った火力を繰り出します。
果たして、騎士と猫二はこの「愛と脂の地獄キッチン」を、無傷(心身ともに)で脱出できるのか――物語は、レモン汁でベタベタの最終決戦へと加速していくのでした。
咲姫のわがままを実現する調理場を書きました。
だいぶ誤字脱字がなくなってきました。1週間程度はスローペースで進み、1回だけ24更新をお試しするかも?知れません。




