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クラフトアルケミストの異世界素材録 〜スローライフから始まる概念破壊の銀河群像劇〜  作者: モカルドルラテ(ねこちぁん)
第一部:孝平の章

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ep.61 分けられた火

朝、ウンヌツギヘの空に、風が戻ってきた。

昨日まで止まっていた風が、島の奥へと流れ込んでいく。


「……火が、呼んでる」


咲姫が、灯壺を抱えて立ち上がる。


「この火、分けられるよ」


ぽぷらんが、しっぽで◎を描いた。

その中心に、灯壺の火がふわりと重なる。



島の中央、内向きに燃えていた火の輪。

その火が、ゆっくりと外へ広がりはじめた。


「火の向きが……変わってる」


瑛里華が、風の流れを読む。


「迎える火になったんだ」


孝平が、ホムラノワ号を見やる。


「この島も、火の輪になったんだよ」



果林が、灯壺の火を小さな皿に分ける。

それを、島のあちこちに置いていく。


「分けるって、ちょっと怖いね」


「でも、分けるからこそ、広がるんだよ」


イサリが、静かに言った。


「火は、ひとつじゃなくていい。

 それぞれの場所で、それぞれの灯になればいい」



夕暮れ、島のあちこちに、小さな火が灯った。

それは、火の輪の火と、ウンヌツギヘの火が混ざったもの。


「……きれい」


咲姫が、灯りの間を歩く。


「誰かが来たとき、ここが“迎える場所”になるように」


孝平が、最後の皿に火を移す。


「ホムラノワ号は、火を運ぶ舟。

 でも、火を“分ける”舟でもあるんだな」


ぽぷらんが、しっぽで◎を描いた。

その輪の中で、火がまたひとつ、灯った。

今回は、火を“分ける”回。

ウンヌツギヘという忘れられた場所が、

再び“迎える場所”として目を覚ます瞬間。


火の輪の火は、ただ燃え続けるだけじゃない。

誰かに分けることで、広がっていく。

そして、分けた先でもまた、誰かを迎える火になる。


ホムラノワ号は、そういう火を運ぶ舟。

そして、分ける舟でもある。


次回は、ウンヌツギヘに最初の“訪問者”が現れる回。

火に導かれてやってくる誰か――

それは、かつて火の輪を離れた者かもしれません。


それでは、また火のそばで。

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